【3分解説】コロナは「ビール業界」をどう変えたか

2020/7/14
もうすぐ梅雨が明け、灼熱の夏がやってくる。
キンキンに冷えたビールが一年で最もおいしい季節だ。仕事終わりの一杯を楽しみにしている消費者も多いだろう。
ビールメーカーにとっては一年を通して最大の稼ぎ時で、熱い商戦を前に、今年も各社が飲食店の銘柄や小売店の棚を巡り、しのぎを削っている。
しかし今年のビール商戦は、例年とは様子が違う。新型コロナウイルスの影響によって販売数量が減少した上、売れる商品が大きく変わっているのだ。
そしてそうした変化は、ビールメーカーのシェア争いで逆転劇を生んでいる。
今、ビール業界で何が起きているのか。3つのポイントで解説する。
(写真:photologica/iStock)

①第三のビールが「本物」超え

コロナ危機はあらゆる産業に打撃を与えているが、中でも影響が大きいのが外食産業だ。
特に夜の営業が中心の居酒屋産業は、緊急事態宣言下における閉店時間の制限などで、売上が激減。日本フードサービス協会によれば、全国の主要な居酒屋チェーンの5月の売上は、前年同期比で90%も減少した。
この「居酒屋離れ」は、ビール業界に大きな変化をもたらしている。ビールの販売数量が落ち込み、代わって価格の安い第三のビールが飛ぶように売れているのだ。
推計も含めれば、ビールの売り上げは、キリン▲24%、アサヒ▲26%、サントリー▲34%、サッポロ▲22%と、大手4社は軒並みマイナスだ。
一方で第三のビールは、キリン+8%、アサヒ+2%、サッポロ+35%で、プラスマイナスゼロのサントリー以外は販売数量を伸ばしている。