全米40州で感染増加 共和党知事3州の被害深刻
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若年者の感染が多いため、重症数や死亡者数はまだそれほど増えていませんが、すでに集中治療室のキャパシティを上回る状況があちこちでみられるようです。今後、病院内や高齢者施設での感染拡大が相次げば、事態がより深刻になっていきます。
また、アメリカにおけるコロナ感染は健康格差の問題を浮き彫りにしています。ルイジアナ州での大規模コホート調査では、コロナで死亡した患者の約7割が黒人で、低所得地域に住んでいることや医療保険の有無、肥満などの因子がコロナによる入院を要するほど重篤化するかどうかに関係していたことが報告されています。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsa2011686
健康格差は貧困問題と密接に関係しており、米国での感染拡大に関わっているものと思われます。各州の行動規制について、下記NYTのページが再開の状況が分かりやすかったが、今はステータスに「Reversing」というものもできて、カリフォルニアやフロリダ、テキサス、ミシガンなどがそうなっていることが窺える。またPausingの州も多い。
https://www.nytimes.com/interactive/2020/us/states-reopen-map-coronavirus.html
また、下記でOpenTableの予約データが州・都市ごとにみられる。全米ではまだ回復基調を維持している(それでもYoY-50~60%くらい)が、フロリダやアリゾナ、カリフォルニアの州データや主要都市データだと少し下がり始めている。
https://www.opentable.com/state-of-industry共和党知事でまとめるのは、疫学的にはフェアではないように思いますが、いずれにせよ、感染拡大が深刻なことに間違いはありません。医学誌でのフロリダ州の医師のインタビューも、すでに集中治療室のベッドが飽和してきていることを伝えています。
そんな中でも「致死率は低下している」というような楽観論が出てくる心境も察しますが、その解釈には注意が必要です。
現在のアメリカの感染流行の進行はどこか東京でのそれと共通しています。4月のニューヨークを中心とした感染流行と比較してみると、感染者の平均年齢は約15歳低下しています。その背景に、クラスターの中心地が、バーやナイトクラブにあることが挙げられます。一方、高齢者、特に高齢者が集まる高齢者施設はしっかりと防御を張られている傾向にあります。
幸い、若い世代におけるこの感染症の致死率はとても低いのです。
ただし、高齢者への防御は、完璧なものではないということに注意が必要です。感染流行が爆発的に増加すれば、遅れてこの世代にも入り込む可能性が高いと考えられます。こういった世代間の時差は、インフルエンザパンデミックでもよく観察される現象です。
そして、死亡者が増えてしまうのは、そのさらに約1ヶ月後と言うことになります。
それを見るまでアクションを取らないとすると、悲劇的な結果を生む可能性が高いと考えられるため、「致死率が低い」今動く必要があります。記事中の三州でも、政治的側面を背景としている可能性があるものの、やっと規制がスタートしました。それらの規制が有効かどうか見えるのは、さらに2週間後です。
こういったタイムラグは見えない敵と戦う上で、理解がなかなか難しいところですが、広く理解を進め一致団結しないと、厳しいアウトカムにつながってしまいます。