【シバタアキラ】高校中退、フリーター生活で世界の広さを知る

2020/7/6
急成長を遂げる米ベンチャーDataRobotの日本担当チーフデータサイエンティストとして「AIの民主化」を推し進めるシバタアキラ氏。
そのミッションをつかむまでのキャリアは異色だ。高校を中退し、ミュージシャンに憧れた10代を経て、ロンドン大学とニューヨーク大学で素粒子の先端研究に従事。ボストン コンサルティング グループに転じた後に起業。「絶望の時」を経て天職に出会った。
高速で成長を続けるシバタ氏の思考と哲学を追う。(全7回)

中学生で得た原体験

なんでも自分で決めて、自分でできるようになりたい。そんな欲求は10代から強いほうだったと思います。
私のキャリアは、コンピューターとサイエンスの2軸の掛け合わせで形成されているのですが、その1つ目の軸、コンピューターに初めて興味を持つようになったのは中学生の頃。
パナソニックのエンジニアだった父が、「SE30」というMachintoshのパソコンを買ってきたのがきっかけでした。
シバタアキラ/DataRobot チーフデータサイエンティスト、物理学博士
高校中退。ピザ屋でフリーターをした後、パンクロックに憧れて渡英。ロンドン大学でプログラミングに目覚め、高エネルギー物理学博士課程修了。ニューヨーク大学でのポストドクター研究員時代に加速器データの統計モデル構築を手掛け、「神の素粒子」といわれるヒッグスボゾン発見に貢献。その後、ボストン コンサルティング グループで戦略コンサルティングに従事。AIニュースキュレーションアプリ「カメリオ」を提供する白ヤギコーポレーションの創業者兼CEO(最高経営責任者)を経て、2015年にDataRobot Japanの立ち上げに加わる。
その後、カラースクリーンを搭載した「ColorClasicⅡ」というマシンも買ってもらいました。ハードディスクの容量が30メガバイトくらいで、記録しようとすると「ガチャガチャ」と音が鳴るようなパソコンでした。
当時はインターネットがなく、情報を得る手段が限られていたので、本で研究して中身を改造して遊んでいました。
今思えば、これが「民主化を加速させる製品力」を知った原体験でした。
Macintosh「color classic」(写真:Hirkophoto/iStock)
アップルはそれまでも「AppleⅡ」などコンピューター好きが使えるマシンを出していましたが、次々にインターフェイスを改良して、初心者でもすぐに使い始められるコンピューターへと姿を変えていき、その変化を目の当たりにしました。
スティーブ・ジョブズがやってきたことは一貫して「技術の民主化」だったのだと感じます。
つまり、新しい技術をゼロから生み出すというよりも、「すでにある技術をより広く多くの人に使ってもらう」ことに集中している。
そこに大きな社会的価値があるし、ビジネスとしてのポテンシャルもある。
当時、その恵みを体感しながらコンピューターに触れていたことは、少なからず私の仕事観に影響したはずです。ジョブズの創業当時のスピーチを聴くと、とても共感できます。

何のために勉強するのか

通っていた学校は都内の中高一貫校でした。