【400社データ公開】加速する「家消費」、減る「オフィス系」

2020/6/29
新型コロナウイルスによって、日本だけでなくグローバル経済全体が大きな打撃を受けている。
コロナ・ショックは、「需要が消滅するタイプ」の経済危機と言われる。その第1波としては、外食や小売り、観光、エンターテイメントなどさまざまな業界で売り上げの激減に見舞われている。
こうした打撃から回復するスピードが、「V字型」で速いのか、「U字型」でゆっくりなのか、「L字型」でしばらく回復しないのか──。現時点では明確な道筋は見えていない。
ポストコロナ時代に向けた「ネクスト・ノーマル(次なる日常)」とは、具体的にはどのような〝実像〟なのか。
見通しが不透明な中で、NewsPicks編集部は、月次の売り上げ速報を公開している約400企業のデータを集め、リスト化した。
(写真:アフロ)
約400社の最新データから見えてきた新常識は、ひとことで表現すると、自宅での生活や仕事を充実させる「家消費」が加速し、「オフィス系」の消費が完全には戻らないという点にある。
400社の最新データを14のカテゴリーに分けて分析していく。
INDEX:14カテゴリーのリスト
(1
家・住宅関連
(2巣ごもり消費
(3Eコマース・物流・フードデリバリー
4スーパー・コンビニ・ドラッグストア
5中食(テイクアウト)
6外食
7居酒屋・バー・酒屋
8カフェ・喫茶店・ファミレス
9モビリティ
10ヘアケア
11旅行・観光・インバウンド
12ファッション
13エンターテイメント・その他
14)リユース・雑貨

伸びる「家具」「ホームセンター」

まず、昨年に比べて10%以上成長しているサービスを見ていこう。
キーワードは「家」で、家具の売り上げが伸びている。
家具大手のニトリ(札幌市)が6月23日に発表した6月度の月次売り上げはすさまじい伸びを見せた。
(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
44店舗の臨時休業がありながらも、全店舗の売り上げが、2019年6月度に比べて、51.1%と大幅なプラスとなった。既存店ベースの売上高を見ても、47.4%のプラスという好調さだ。
特に売り上げが増えた商品は、ホームオフィス系の家具や収納整理の家具で、リモートワーク(在宅勤務)を取り入れている企業が増えていることや、家にいる時間が増えたことなどが読み取れる。
注:基本的に全店舗の売り上げの数値
出所:各社のホームページよりNewsPicks編集部作成
同じ家具の分野でも、リアル店舗ではなくEコマース(ネット通販)で展開する「リコメン堂」も好調だ。
リコメン堂は、ジェネレーションパス(東京都新宿区)が運営し、インテリアや家具などを中心に扱っている。同社の月次売り上げは、4月に前年同期比で66%増加し11.4億円を売り上げた。そして、5月も53%増という大幅なプラスを続けている。
家・住宅関連では、ホームセンターの売り上げが5月になってさらに伸びている。特に、首都圏以外に本社を置く企業が好調だ。
アークランドサカモト(新潟県)が運営する「ホームセンタームサシ」、コーナン商事(大阪府堺市)の「コーナン」、バローホールディングス(岐阜県)傘下の「ダイユーエイト」、アレンザホールディングス(福島県)の「アレンザ」など、5月の売り上げが前年から20%以上増えている。
(写真:アフロ)
家電量販店の売り上げも伸びている。