【実録】知られざる、「コロナ後」の覇権争い

2020/5/31
新たな覇権争いが熱を帯びているーー。
「このプロジェクトは、とてつもなく素早く、巨大なモノだ。そして、もちろん軍のパワーもつぎ込むものになる」
アメリカのトランプ大統領が5月15日、こうぶち上げた。だが、これは軍事行動のプロジェクトではない。今も世界中で拡大し続ける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンや治療薬の開発を加速するプロジェクトに関するものだ。
その作戦の名は「オペレーション・ワープ・スピード(超高速作戦)」。
米メディアによると、トランプ氏は、第2次世界大戦で世界初の核兵器を完成させた「マンハッタン計画」となぞらえたという。
なぜ、米国は、ここまでの国力を注ぎ込んで、ワクチン開発にいそしむのか。
もちろん大きな理由は、感染者数が170万人、死者数も10万人も超えるなど、世界で一番、新型コロナによるダメージを受けているからだ。また、失業者保険申請者数が4000万人を超えるなど、深刻な痛手を負った経済を早く回復させたい思惑もある。
だが、そこには、もうひとつの背景がある。