中国全人代、5月22日開幕へ 感染封じ込め誇示、正常化目指す
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全人代の開催も決まり、中国の新型コロナ対策は次のフェーズに突入しようとしています。
経済分野では、毎年公表している経済成長目標を設定するのか、新型コロナウィルスに関する経済対策の規模、内容などがどのようなものになるのか、に注目しています。
特に後者においては、中国の経済対策は、金融頼み、財政出動が遅れているといった声が聞かれていましたが(※)、私の見方は違います。
過去と違い中国でも財政的に厳しい状況にある中で、財政をより効果的に投下し、この未曽有の景気後退に対応しようとしているのだと思います。
感染拡大初期においては、人的影響を抑えるべく医療現場に対策を集中させました。また、感染拡大抑制のため厳しい行動制限を課した結果、サービス消費を中心とした企業業績が急激に悪化。その対策として利下げや預金準備率の下げを通じ、企業の資金繰り支援を行いました。
つまり、金融政策は短期ショックを緩和するための「守り」とみることができます。影響の全貌が見えていないこの時期に無理に財政出動しても(例えば全国民に現金を配布など)、効果も不明でその後の財政出動に影響しかねません。
次のフェーズが「攻め」の財政出動だと思います。影響の全体像が見えてきた後、どのような経済対策が実施されるのか要注目です。
※日経新聞 『中国、金融頼みの経済対策 利下げ幅拡大』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58270210Q0A420C2EA1000/中国は、党中央が国内の新型コロナウイルス感染を抑え込んだ、習近平総書記は英雄である、と誇示するために、メンツにかけても全人代を開いて国民にアピールするでしょう。
問題は、その中身です。中国経済がダメージを受けていることは間違いないでしょうから、李克強総理が政府活動報告の中でどのような内容を述べるのかによって、習近平総書記の権威が共産党内で維持されているのかどうかを計る目安になるかもしれません。
李克強総理は、一度、習近平総書記によってその経済政策を否定され、権限を奪われていましたが、昨年7月頃から、改めて自身の経済刺激策を中心とした経済政策を打ち出して存在感を高めています。
コロナウイルス感染によって中国経済がダメージを受け、国際的なサプライチェーンにも悪影響が及び、中国の経済活動を活性化させるためには経済刺激策も必要になるでしょう。李克強総理は、この機に乗じて、さらに存在感を増すかもしれません。
李克強総理が存在感を増すことは、相対的に習近平総書記の権威が低下することでもあります。習近平総書記は、財政再建と経済構造改革を進めるために、その手に全ての権力を集中しようとしてきたのですから、権威が分散することは好ましくないのです。
習近平総書記は、自らを英雄とするキャンペーンを展開していますが、情報隠蔽や対処の仕方について、国内にも批判があります。全人代では、習近平総書記は、自らの権威を回復するために努力するでしょうが、李克強首相が政府活動報告等を通じて存在感をアピールする機会を奪うのは難しいかも知れません。