【竹中平蔵】 “コロナ恐慌”を避けるための「2つの手段」

2020/4/21
正念場を迎える日本。今のままでは、二段階の経済危機により恐慌が起きかねない。今、必要な経済政策とは何か。竹中平蔵・慶應義塾大学名誉教授が緊急提言する。

コロナショックの5つのポイント

新型コロナウイルスによる混乱は、世界を震撼させている。ともすれば日々の感染者増加数や医療現場の混乱など、目の前の現実に注目が集まる。
しかしこんな時こそ、事態を俯瞰し、より高い視点からの観察が求められる。
こうした点から、以下では5つのポイントを指摘したい。
1)日本は、人口に対する死亡率が諸外国より極端に低い。しかしこれは、今後爆発的に被害者が増える可能性をも示唆している。
2)危機時には、その社会が抱える弱点がさらけ出される。日本は戦争など非常事態を想定していない国であり、このため非常時には「統制する」という概念がない。
3)歴史の教訓から、パンデミックによって従前とは違う世界が作られる。それは、すでに起こりつつあった変化を、一気に加速させる。デジタルシフトはその典型だ。
4)政策を誤れば、今回の経済危機は、「コロナ経済危機+第二のリーマン・ショック」という二段階の経済危機を招く。そうなれば、被害は大恐慌クラスのものになる。
5)それを抑えるための重要な手段は二つ。従来とは発想の異なる「国民生活救済政策」と「資金繰り支援政策」を準備することだ。
具体的には、政府小切手で全国民に急ぎ現金を給付し、後にマイナンバーに紐付けて高額所得者には返済させる。また今のところ動きの遅い日銀は、アメリカ連銀並みの資金支援を用意することが必要だ。