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安倍首相、現金「1人10万円」に心変わりした事情

東洋経済オンライン
安倍晋三首相は4月16日、緊急事態宣言の対象を全国に拡大するとともに、「困窮世帯に30万円」としていた現金給付を「全国民一律1人10万円」に大転換した。政府の一連のコロナ対策への国民からの批判の拡大と、内閣…
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安倍首相は2012年末の第2次政権発足以来、理念的な対立が強いテーマに執念をもって取り組む姿勢を鮮明にしてきました。例えば、特定秘密保護法、集団的自衛権の一部行使を認める安全保障関連法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法、そして憲法改正運動といったテーマです。しかし、これらは国民生活にただちに影響するものではなく、強い反対がありながらも時間がたてば忘れられる側面がありました。

しかし、今回の新型コロナ感染拡大をめぐる社会不安への対処は、国民1人ひとりの生活を直撃するものです。官邸が「一強」的に、すなわちある意味で独裁的に物事を強行することができた過去の一連のテーマとは明らかに異なります。経済活動が停滞し、コミュニケーションもままならない状況が生まれ、政治の根っこの部分、政党の足元が大きく揺らいでいます。世論の風圧も、過去のどれとも比べものにならないレベルだと思います。

私も長く首相官邸を取材してきましたが、行政府の司令塔である官邸のコックピットから国民生活のリアルがみえているのかといえば、なかなかみえないものです。官邸主導は合理的な面もありますが、イエスマンに囲まれる状況ができがちな弊害もあります。地域にアンテナを張ってきた政党が官邸にプレッシャーをかけ、再考を促す動きは今後も強まっていくでしょうし、そうあるべきだと思います。それが民主政治です。
私は「過ちを改むるに憚ることなかれ」と政策変更は正しいと考える立場です。また、「一強」だからこそできた自作自演の「ちゃぶ台返し」だとも思います。ただ、皮肉にも、この「一強」ゆえにできたことが、「一強」の終わりを告げることになると見ます。政権の求心力低下は避けられません。
コロナ禍をめぐる政権の「迷走」は深刻でした。2月末の一斉休校要請の一方で、4月には緊急事態宣言を出し渋るという矛盾。アベノマスクとやゆされたマスク配布が始まったきのう、米国ではもう国民への現金給付が始まっています。その同じ日に日本では驚きの政策転換について首相会見が行われました。
やはり、桜を見る会と森友問題の再燃がボディブローとして効いています。そして政権の最大のエンジンであるアベノミクスがコロナ風に吹き飛ばされた今、ロープに追い込まれた形です。コロナの後に、大きな政変が起きると思います。