【分析】産業ロボット決算で読み解く「コロナ後に伸びる業界」 

2020/4/27
今週から5月にかけ、いよいよ決算シーズンが開幕する。新型コロナウイルスの感染拡大によって経済状況は悪化しており、各社の業績に影響があるのは間違いない。ただ、企業業績により深刻な影響が出るのは、次の2020年度の方だろう。
ゴールドマン・サックス証券が4月上旬に公表したレポートでは、日本の2020年4〜6月期のGDPは前期比年率マイナス25%と、データをさかのぼれる1955年以来、最大の落ち込みになると予測した。
ただ、日本政府が4〜6月期のGDP速報を発表するのは8月になってから。景気の不透明感は増しているが、先行きの見通しをつかむ指標は、それほど多くはないのが実情だ。
そんな中、注目すべきなのが産業ロボットメーカーの決算だ。ロボットをはじめとする産業機械は、自動車、スマートフォンのような身の回りの製品を生産する際に必ず使われる。
景気によって業績が大きく左右されるため、「景気の先行指標」として知られている。
今回、産業ロボットメーカーの決算から、不透明な状況にある中での「経済の今」を紐解いてみる。
Index
 
☑️産業機械は「景気の先行指標」
 ☑️ 米中貿易戦争で「利益半減」
 ☑️「未来の売り上げ指標」を徹底分析
 ☑️究極の先行指標「サーボモーター」
 ☑️「7四半期ぶりにプラス」の意味

産業機械は「景気の先行指標」

そもそも産業ロボットは、主に工場で、溶接作業や物の運搬などを自動化するために使われる。
作業者が肉体的に負担の大きい作業をロボットが代替している。日本のように人手不足、中国にように急速に人件費が高騰している工場で、特に導入が増えている。
航空機のエンジンを持ち上げるファナック製の大型ロボット(国際ロボット展2019、写真:Ken Hiraoka)
そんな産業ロボットは、日本のファナックと安川電機、海外ではスイスのABBと、中国資本となったドイツのKUKA(クーカ)の4大メーカーとされる。