【核心】コロナとの「経済戦争」の先

2020/4/2
ロックダウン経済危機に陥る世界はどうなるのか。
日銀やFRB、そして各国政府が戦時の勢いで未曾有の経済対策を打ち出す先には、どんな景色が待っているか。
中央銀行ウォッチャー、東短リサーチの加藤出・チーフエコノミストが解説する。

紙幣のニーズが高まっている

以下のグラフを見てほしい。
これは、2月1週目以降の円、ユーロ、ドルの「紙幣流通高」の変化を表している。
円紙幣の今年の動きは、過去2年と比べてそう大きな変化は見られないが、ユーロ紙幣とドル紙幣(特に後者)は、3月下旬にかけて急激な伸びを示している。
新型コロナウイルスの感染拡大で、外出規制やロックダウンが適用されている地域では、平時よりも銀行から現金を引き出す人が増えているようだ。
ただし、これは現時点では、銀行システムの信用力に不安を感じた人々が取り付け騒ぎを起こしているのではない。
自宅または郊外の別荘などにこもる人々が、念のため手元に現金を多めに保有している様子である。
キャッシュレス社会のアメリカであっても、不安が高まると「頼れるのは現金」と思う人はいまだに少なからずいるようだ。
もっとも、紙幣にウイルスが付いているのではないかと警戒する人は、そういったことはしない模様。
コロナ危機下において、紙幣のニーズが高まっている(写真:SeongJoon Cho/Bloomberg via Getty Images)

金融市場で起きていたこと