ドイツ銀、償還可能な債券の返済オプション行使せず 市場混乱が影響
コメント
注目のコメント
これは、大げさに取り上げるほどのことではないと思う。
新たな債券を発行して借換資金を調達するとコストが高くつくので
そのままにしておくという冷静な判断で、ティア1債はもともと
その分のプレミアムで同じ発行体の通常の債券より余分にスプレッドが
乗っているので、投資家目線でみれば埋め合わせはできているはず。
金融市場のプロなら誰でもわかる事だが、ヘッドラインで「市場の混乱」などと
書いてあり、記事が一般に拡散されて誤解を招くおそれもあるので、横から補足しておきます。赤井さんがご指摘の通り、コストの関係で、返済オプションを行使しなかった、ということです。ドイツ銀行のデフォルトにはなりません。
ただ、総じて苦しい金融機関がこういうコールスキップを行う傾向もあります。投資家は、イールドtoコール (YTC) つまり、コールまでのイールドで収益を計算していますから、コールされないと、想定通りのリスクリターンを得られないことになりますので、金融機関側はレピュテーションリスク回避のためにも、出来るだけコールは履行しようとしますので。
因みに、邦銀大手行でも、2000年代初頭に、(今のAT1と少し形態は違いますが) 、同様のオプションのスキップがみられました。
当面、欧州の脆弱金融機関ではこうしたコールのスキップが相次ぐのでは、と思います。最近マーケットをまったく見てないので、価格形成がどうなってたかとかも考慮する必要あるんですが、コメントには誤解多そうですね。
説明すると長くなりますが、簡単に言うと、これは永久債とは名ばかりで、基本的には返済するものだという前提で発行されているものなので、返済オプション行使されないと混乱という指摘自体は正しいです。
一方、こういった類の証券は、決め事としては返済をするかどうかを決める権利を発行体が持っているので、実質的には返済の期限のない株式と同じ類の証券となり、株式と一緒で返済義務はないから、即デフォルトみたいな話ではなく、約束を契約上破っているわけでもありません。
余談ですが、資本とは株式のことだけを指すのではなく、返済期限のないお金という解釈がグローバルスタンダードです。日本の場合、株式として発行しとけばだいたい何でも資本計上ですが、現金償還が決まっている株式なんかは、それは負債として解釈されます。
話戻すと、足下の価格水準確認してませんので、既に市場に折り込み済みかは知らないですが、日本の地方銀行なんかは当然に償還されるものとして、お得な社債という気分で買っている人たちも多いので、こういった類は大問題です。
今後の発行がしにくくなるのは間違いありません。
ちなみに、私がやってた数年前までは、償還しなかったケースはそれこそドイツ銀行が過去にやってたくらいで、償還するのは暗黙のルールでした。だから安いコストで資本を獲得できたわけです。
<追記>
スプレッドがワイドニングしているので、この証券はまだ資本性残りますし、コール行使しないのは妥当な判断です。むしろ利下げで米銀の方がワイドニングしてそうですので、このまま続くとコールのスキップはまあまああるかもですね。
問題は、仕組みが見えにくいので不安になりがちってことですかね。もうダメだーと騒ぐほどの流動性の枯渇には見えません。久しぶりに見ましたが、むしろ、こんなにアセット抱えてるのに、相変わらず収益力低いんだなというのを感じたというところ。