【中山亮太郎】お金集めだけじゃない、Makuake活用のメリット

2020/3/20
インターネットを通じて、主に個人から少額の投資を募る「クラウドファンディング」。わが国ではクラウドファンディングが知られるようになった時期と、東日本大震災の復興支援策として注目された時期が重なる。そのため「クラウドファンディングは困っている弱者が利用するもの」「困っている人でないと、使ってはいけないもの」と誤解され、なかなか普及が進まない時期もあった。

そのクラウドファンディングサービス「Makuake」を運営するマクアケを率いるのが、37歳の中山亮太郎社長である。

映画『この世界の片隅に』の資金調達をしたことで一躍有名になったマクアケ。クラウドファンディングの可能性を探りつつ、社会のインフラとして根付かせるために、日々何を考え、実行しているのか。中山氏のたどってきた道筋と、仕事をするうえで大事にしている哲学を聞いた。(全7回)

「子会社の社長をやらないか?」

サイバーエージェントから社内ベンチャーを立ち上げるチャンスをもらったのは、2013年5月のことでした。
そのころ僕はベトナムのホーチミンに赴任していました。仕事が休みのある日、ホーチミンの散髪屋で髪を切っていると、サイバーエージェントの幹部からスマホに電話がかかってきた。
「サイバーエージェントの子会社をつくって、クラウドファンディング事業を立ち上げることになった。その子会社の社長をやらないか?」
クラウドファンディングについて詳しくは知りませんでしたが、広く一般からお金を集める仕組みだという知識はなんとなくありました。お金があれば、できることはたくさんあります。
逆にいえば、お金がないために、やりたいことに挑戦できずにいる人たちは大勢います。その人たちにお金を融通することができれば、日本の産業は変わっていくかもしれない。
僕は「やります!」と返事をしていました。

クラウドファンディングとは?

当時はクラウドファンディングの仕組みが生まれたばかり。事例も少なく、何ができるのかもよくわかっていませんでした。