【重松大輔】100の起業アイデアから空きスペースのシェアに決めた

2020/3/1
民泊仲介サービスの「Airbnb」やライドシェアサービスの「Uber」など、個人が所有するモノ・スペース・スキルなどの遊休資産を、インターネットを介して共有する「シェアリング・エコノミー」が、日本でも市場を拡大している。

シェアリングエコノミー協会代表理事の重松大輔氏は、その潮流を予見し、2014年にスペースマーケットを創業。さまざまなスペースを時間単位で貸し借りできるプラットフォーム「SPACEMARKET」を立ち上げ、日本のシェアリング・エコノミー業界を牽引してきた立役者の一人だ。

NTT東日本からベンチャーのフォトクリエイトへの転職を経て、37歳で起業家となった重松氏は、常に「新しいこと、面白いことにチャレンジしたい」という思いを抱いてきたという。現在も「世界中のあらゆるスペースをシェアできるプラットフォームを創る」というミッションの実現に邁進している、重松氏の半生と仕事の哲学に迫る。(全7回)

創業から5年目で上場へ

スペースマーケットは、企業や団体、個人が所有する遊休スペースや利用時間外のスペースを、利用したい人と簡単にマッチングさせるプラットフォーム「SPACEMARKET(スペースマーケット)」を運営しています。
重松大輔(しげまつ・だいすけ)/スペースマーケット CEO
1976年千葉県生まれ。千葉県立千葉東高等学校、早稲田大学法学部卒。2000年NTT東日本入社。主に法人営業企画、プロモーション等を担当。2006年フォトクリエイトに参画。 一貫して新規事業、広報、採用に従事。国内外企業とのアライアンス実績多数。2013年7月東証マザーズ上場を経験。2014年1月スペースマーケットを創業。 お寺、野球場、古民家、オフィスの会議室、お化け屋敷などユニークなレンタルスペースのマーケットプレイスを展開。2016年1月シェアリングエコノミーの普及と業界の健全な発展を目指す一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立し代表理事に就任。2019年12月東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場を果たす。 アワード受賞歴にIVS Launchpad 2014 spring準優勝、B dash campピッチアリーナ2014優勝、Rising Expo2014優勝、Japan night2015優勝など多数。
会議室やホール、結婚式場、映画館、カフェなどのほか、廃虚ビルや廃校、古民家、住宅、お寺まで、実にさまざまなスペースが1万2000件以上登録されていて、ユーザーは目的に合ったスペースを検索して、時間単位で利用することができます。
貸し手(ホスト)からは30%、借り手(ゲスト)からは5%の手数料をいただくのが、基本的なビジネスモデルになっています。
スペースマーケットを創業したのは、2014年1月です。37歳での起業だったので、早期に結果を出したいという強い思いはありました。
当初から2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催前のIPOを見据え、創業から5年目の2019年12月20日に、東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たしました。

新しいことにチャレンジしたい

両親が共に中学校教師という家庭で育ち、親族にも勤め人が多かったので、かつては起業の世界とは無縁でした。
幼い頃の重松氏(中央)と両親、弟と妹
地元の千葉県立千葉東高等学校から一浪して早稲田大学法学部に進学し、2度の就職活動を経て、NTT東日本に入社しました。
その過程には、いつも「新しいこと、面白いことにチャレンジしたい」という思いがありました。
高校ではラグビーに打ち込み、大学時代はアルバイトに明け暮れるうちにメンターとの出会いがあり、初めて「起業家」という存在を目の当たりにして、さまざまなことを学ばせていただきました。
NTTに就職してからも、メンターから依頼されたプロジェクトにプライベートの活動として取り組む中で、新しいことにチャレンジする面白さを実感。NTTの同期が創業したフォトクリエイトに30歳で転職してからも、新規事業に注力しました。
そして、フォトクリエイトが2013年7月に東証マザーズに上場したのを機に、起業を決意。「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」というビジョンを掲げ、「世界中のあらゆるスペースをシェアできるプラットフォームを創る」というミッションの実現に邁進しています。

海外スタートアップ事例を研究

起業にあたっては海外のスタートアップ事例を徹底的に研究し、100程度のアイデアを挙げました。