【警鐘】若手マルクス研究者が「資本主義の限界」を語る

2020/2/19
日本に到来した過去最大級の台風、ブラジルでの森林火災、オーストラリアでの熱波・山火事・洪水などの自然災害が世界中で発生...。
この1年だけでも、気候変動の影響が目立つようになってきた。
そうしたなかで、アメリカは2019年11月、平均気温の上昇を「産業革命前比で2度未満」に抑えようという国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を通告。ブラジルでは、2019年1月に就任したボルソナロ政権下で、熱帯雨林の違法伐採が加速している。
2019年12月の第25回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP25)でも具体策の合意が見送られるなど、2100年までに世界の平均気温が4.8度上昇するという「最悪シナリオ」の可能性は高まっているように見える。
十分な気候変動対策が取られないなか、いまの資本主義体制の下では気候変動、環境問題、格差といった問題への対応は「不可能だ」と、マルクス主義を専門とする経済思想家で大阪市立大学准教授の斎藤幸平氏は言い切る。
NewsPicks編集部は、資本主義の問題点、旧来型の社会主義とも現代の資本主義とも違う未来の社会像について斎藤氏に話を聞いた。
Index
・「グリーン資本主義」では歯が立たない
・より民主主義的なポスト資本主義
・未来を拓く<コモン>という発想

「グリーン資本主義」では歯が立たない

──2019年8月に出したマルクス・ガブリエル、マイケル・ハートらとの対談集『未来への大分岐』では、資本主義をこのままにしていては、人類が危機を迎えると警鐘を鳴らしています。なぜそのような危機に陥ると考えているのですか。