【オスカー前夜】巨匠が『アイリッシュマン』で伝えたいこと

2020/2/8

衰えぬ「映画づくりへの情熱」

マーティン・スコセッシはこれまでの人生のなかで、いま最も仕事に燃えている。
映画づくりへの新たな情熱にあふれ、アメリカの裏社会を描いた最新作『アイリッシュマン』への反響に気を良くしてもいる。
そして彼は、「死」について語りたがっている。
誤解のないように言っておくが、スコセッシは「映画の中の死」について言及しようとしているわけではない。
「とにかく“手放す”しかない。とりわけ先が見えたこの年ではね」。ある土曜日の昼下がり、彼はそう語った。
(Philip Montgomery/The New York Times)

「伝えるべきこと」は何か

スコセッシは現在77歳。マンハッタンのタウンハウスの居間で、ゆったりとした長椅子に横になっている。
しかし、避けることのできない「死」についての対話が熱を帯びると、彼はむっくりと体を起こした。