【証言】激安サイゼリヤ、異質な「サプライチェーン」の謎

2020/1/30
全3回にわたり、業界最安値の外食チェーン「サイゼリヤ」を研究する本特集。最終回となる本日は、購買部部長を務める、今村諭氏のインタビューをお届けする。
この特集でもお伝えしてきた通り、サイゼリヤが高品質と低価格を同時に実現している背景には、「外食のSPA」とも呼べるビジネスモデルがある。
サプライチェーンの川上まで攻めてゆき、原価率と欲しい食材の調達を、うまくコントロールしているわけだ。
サイゼリヤの購買部といえば、SPA化に不可欠な「食材の直輸入化」と「自社生産化」の要を担う部署だ。原材料費と物流費の高騰の影響を抑えつつ、いかにしてサプライチェーンの効率化を進めてきたのか。余すことなく聞いた。
今村諭(いまむら・さとし)/サイゼリヤ 購買部部長
1995年、サイゼリヤに新卒で入社。店舗の店長、エリアマネージャー、工場長などを歴任し、2015年に現職。

「大型工場」が現場を変えた

今村 1995年に新卒で入社しました。ハンバーグ380円という、当時でも考えられないような価格設定をしていたので、面白い会社だなと。当時は年間100店舗以上の急速な拡大をしている時期で、勢いも感じていました。
しかし、入社して最初に配属された店舗の仕事は、本当に大変で。入る会社を間違えたな、と後悔しましたよ(苦笑)。
今はなくなってしまいましたが、「真イカのパプリカソース」というメニューが当時はありました。お店に冷凍のイカが納品され、解凍後にボイルして、包丁で切らなければならなかった。
今でこそサイゼリヤはキッチンで火や包丁を使いませんが、当時は使っていたんですね。
10kgのイカを、40分で切るように店長から指示されていました。しかし、料理の経験もほとんどなかった私は、2時間もかかった。