[ロンドン 19日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は18日、同中銀の記者会見の音声データが悪用され、一部のヘッジファンドが他の市場参加者よりも数秒早く、会見内容を把握できる状態となっていたことを認めた。

第三者のサプライヤーが今年、中銀の同意なく一部の記者会見の音声データにアクセスし、「他の外部の顧客」にデータを流していたという。

中銀は「こうした音声データの利用は、中銀の知らないところで、許可なく行われれたもので、全く受け入れられない。さらに調査を進める」と表明した。サプライヤーの名称は明らかにされていない。

英タイムズ紙によると、音声データは会見の動画配信に問題が起きた場合に備えたバックアップ用のデータだったが、第三者のサプライヤーが高速取引を行うトレーダーにこのデータを提供。音声データは動画よりも早い圧縮および送信が可能なため、トレーダーは5─8秒早く取引を開始することができたという。

中銀は同紙からデータの悪用を指摘され、このサプライヤーとの取引を中止。今後一切、このサプライヤーとの取引は行わないとしている。

中銀の報道官は19日、ロイターに対し、この問題を金融行動監視機構(FCA)に報告したことを明らかにした。FCAのコメントはとれていない。

ロンドンの法律事務所ステプトーのパートナー、ゾーイ・オズボーン氏は今回の不正行為の法的過失は英中銀とサプライヤー間の制約条件やその条件の順守の可否、音声データが持つ時間的な優位性に関するトレーダーの認知度などに基づくと述べた。

また法律事務所ロープス&グレーのパートナー、ローハン・マシー氏は、今回の事件に関する事実によっては、法的過失が音声データを悪用したトレーダーから英中銀に至るまで広範に及ぶ可能性があるとした。

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