【米中関係】大統領選、香港デモ…。超大国は「内政」の年
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注目のコメント
世界における中国の存在感が増していく中で、米国の対応はどう変わっていくのか。
近藤大介著『ファーウェイと米中5G戦争』に出てくる中国関係者のコメントは以下。
「中国国内からアメリカの有力企業を数社、締め出しただけで、ニューヨーク株式市場が暴落するのは間違いない。
それに対し、中国国内において、外資系企業の就業者数は全体の6%、税収も6%、投資額は8%にすぎない。いずれも1割未満だ。
(中略)
極言すれば、全外資系企業が中国市場から撤退してもらっても構わないのだ」
日本の貿易相手国(輸出入総額)は、2007年以降、中国が第一位。
第二位の米国との差は広がっていく。
https://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/data/y3.pdf「2020年大予測」に米中関係についての小文を掲載しました。以下は修正点です。
(原文)経済分野で貿易不均衡(対中貿易赤字)を制裁関税などによってどれほど達成したか。
(修正)経済分野で貿易不均衡(対中貿易赤字)を制裁関税などによってどれほど解消したか。
米国の対中政策が「戦略的競争」という概念のもとに収斂したことは重要なポイントです。しかしこの戦略的競争の目的・着地点がどこにあるのか、米国内でも多様な見方があることも注意です。そしてこの米国の状況を、中国側がどう判断するかという解釈の幅もあります。トランプ大統領の判断といういわば独立変数もあります。米中関係はこうした認識のダイナミクスの中で展開されると考えるべきです。
「戦略的競争」については以下のような考え方だと理解するとわかりやすいと思います(個人的な考察メモより)。
【原理】安全保障、経済、政治基盤の優位性を保つため、台頭する競争相手国のパワーの基盤を揺るがし、資源を競争劣位な分野に浪費させ、拡張政策のコストを賦課することなどにより長期的競争を勝ち抜くこと(Mahnken, 2012)。
【背景】伝統的パワー領域における優位性概念の相対化(cf.プロダクトサイクル理論・後発者利益論)と新領域導入による競争条件の変革(cf.オフセット戦略)。
【手段】彼我の軍事・経済・技術・財政のポートフォリオを比較し、競争相手の得意分野での占有を防ぎ、不得意・不採算分野での投資を強いて競争体力を奪い、その間に次世代技術をリードすることにより競争空間を変化させ、時間を味方につけるcf. 企業の競争戦略<competitive strategy>にも通底。
【安全保障領域】電子戦領域における優位、宇宙、サイバー、無人兵器、指向性エネルギー兵器などの新領域を組み合わせたマルチ・ドメインの戦闘領域を確立することにより、中国に多大なコストを強いる競争を強いる。cf. 米NSS2017/NDS2018/NPR2018/BMDR2019
【経済領域】国家資本主義を背景とした中国の経済的台頭を放任したという強い危惧。強い政策介入で米中貿易不均衡を是正し、次世代技術に対する中国のアクセスを制限し、インド太平洋戦略によって一帯一路構想を牽制cf. 米国防授権法2019/CFIUS権限強化/投資(FIRRMA)・輸出規制/政府調達。「2020年もトランプ陣営が中国に対して柔軟な姿勢を見せることは考えづらい」とか「2020年内の包括的な米中合意の達成は望むべくもない」と言った表現がありますが、米中が完全に折り合うことができることが前提として考えられているように思います。…が、それは無いと思います。
基本的にアメリカが中国に要求している産業補助金の廃止、はWTO違反でもありますが、中国としてはこれがあるからこそ自国の産業を支えることができており、絶対に折り合えないです。
そのことを考えると、今回のように追加関税の見送りはあっても、追加関税の撤廃はないでしょう。