【追悼ボルカー】稀代のインフレファイターの「人生」に学ぶ

2019/12/15

米経済を救った「英断」

12月8日に92歳でこの世を去ったポール・ボルカーは、1979年8月にFRB議長に就任した。
今日、当時のアメリカ経済がどれほど悲惨な状況にあったかは忘れられがちだ。
インフレ率は年約12%上昇していた。人々はガソリンを買うために列を作った。失業率は6%で、4カ月連続で急上昇していた。
ジミー・カーター大統領はその1カ月前に、かの有名な「自信喪失の危機」に関する演説を行い、状況を「国家の精神のど真ん中に打撃を与える危機」だと訴えた。
その中で、ボルカーはある見解に至った──ものごとは良くなる前に、悪くならなければならない。しかし、この考え方が世間から歓迎されたとは言いがたい。
FRB議長在任中のボルカー。1980年撮影(George Tames/The New York Times)

「歴史が正しさを証明」