【独白】ダイキンCEO、「天才がいない」からこそ勝てた

2019/12/13
失われた30年で業績を飛躍させて、空調のグローバルトップ企業に飛躍したダイキン工業。その肝は「当たり前のことを当たり前にやる」(井上礼之会長)ことだ。
ダイキンの社長兼CEO(最高経営責任者)である十河政則氏によると、ダイキンの土台を支えるのは「人基軸の経営」や「フラット&スピード」だ。つまり、人を生かすことであり、フラットな組織でスピード経営を実践するということだ。
だが、こうしたことはすべての企業が肝に銘じている、「当たり前」のことだ。しかも、終身雇用をはじめ古き良き「日本的経営」の面影も残す、ごく一般的な日本企業にも見える。
平成の30年間で失速した企業が多いことを考えると、日本企業がこの「当たり前」のことをできていないか、もしくはダイキンの当たり前が他社には簡単にまねできないということになる。
そこでNewsPicks編集部は、CEOであり、「井上イズム」の継承者でもある十河社長を直撃インタビュー。ダイキン経営の神髄とはなんなのか。さらには、デジタル革命の時代を迎え、ダイキンに死角はないのか。十河社長に聞いた。

「雑草集団」はひたすら挑戦と実行

──ダイキンは「当たり前のことを当たり前にやる」会社とのことですが、10年間の大型産学協定を結んでいる東京大学の五神真総長によると「変わった会社」だそうですね。十河社長は自社をどう捉えていますか。
これだけ変化の激しい時代にあって、この10年間で「フォーチュン500」に入る500社も多くが入れ替わった。とはいえ、「エクセレント・カンパニー」や「ビジョナリー・カンパニー」という本に登場するような企業に共通するものは何か、と自分なりに考えたことがある。