政府・自民 企業の納税回避防止へ制度見直し検討へ
コメント
注目のコメント
なんのこと?と思われる方のために要約です。
2016年にソフトバンクグループ(SBG)は、イギリスの半導体設計大手のアーム・ホールディングスを約3兆3000億円で買収。その後、このアーム社の株の一部を2018年3月期に、グループ内のソフトバンク・ビジョン・ファンドに現物出資の形で譲渡しました。
この際、アーム株が所得価格よりも時価評価額が低くなったということで、税務上は1兆4000億円に上る欠損金が発生。言い換えると、プレミアム込みで高めに買った株式をグループ内での株式移管の際に安く譲渡した、として欠損金が生じたということにしているわけです。
ただ、これってあくまでも会計上の欠損のお話で、実際に欠損は出ていないというからくり。外部に売ったのであれば確定損になりますが、グループ内の移管なので、子会社だから連結決算の際は連結消去されてしまいます。よって連結財務諸表上もこの損失は出てきません。なんとも見事な節税術なわけです。
国税としてはこのような手続きを看過するわけにはいかん、という形で動いたってわけです。露骨にソフトバンクGのケースを受けた改正ですね。
組織再編の過程で税務上の損失が発生することがあり、
これをうまく活用してソフトバンクGが節税をしたといわれています。
税務調査でアウトと言えなかった悔しさからなんでしょうが、
新聞や雑誌などの記事で「不公正だ!」というアドバルーンを十分放っておいてから、
法令を改正させていく姿勢、流石ですね。
参考pick記事
ソフトバンクGが修正申告 子会社株移動、税法に課題
https://newspicks.com/news/3988632
ソフトバンクG納税ゼロ 税法、資本取引の対応に遅れ
https://newspicks.com/news/4112508【税制改革の季節!】
来年度税制改革の大綱は12月12日に取りまとめ。
これは例年通りのルーティンで、税制全体のバランス
を調整する大イベント。
税を使って社会を誘導して新しい時代を支えるビジョン
が提示される。
パイは限られているので、何かを削って、何かを増やす。項目毎に「⚪︎×△」の仕分けが行われる。ゼロサムゲームに近いプロセスなので、当然パワーゲームもある。メディアやジャーナリストを使ったキャンペーンを仕掛けてくるところもある。観測気球もバンバン打ち上げられてくるので注意が必要。
今回は、企業の内部留保の活性化も大きなテーマ。大企業がベンチャー企業などに投資した際の税制上の優遇措置なども有力なオプションとして挙がっている。
これは筋の良いオプションだと思う。
NISAの税制優遇打ち切りも議論されている。背景には「金持ち優遇」批判があるらしい。大手証券会社のメイン顧客であるシニア層(退職金を受け取った世代)の「資産運用」だけ見ればそうとも言えるが、公的年金に頼れない若い世代の「資産形成」の視点から見ると風景は全く変わってくる。
例えば、「生産年齢人口」に属する世代限定で、勤労所得から投資を行う人に対する「NISAの非課税」を行う新制度を作ったら、少子化や高齢化で放っておいたら減少してしまう労働者を後押しし、働く人を増やす「一億総活躍」にも資する仕組みになるはず。
個別案件で直接の影響を被る当事者でない限り、個々の報道を見て一つ一つの「球」に右往左往、一喜一憂しないことだ。全体のバランスがどうなっているかを見るのが大切。
そういう視点でこの1か月くらいの税制関係の報道を見ていくと面白いと思います。