石油施設にドローン攻撃 原油生産の約半分が一時停止 サウジ
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イエメンで起きていることは米国とイランの代理戦争と言われていて、米国がシリアから撤退を決めて以降、更に情勢が不安定化している。
米国がイランのシリア行きのオイルタンカーを止めることを試みるなど、今回のドローンこうげきの件も含めて、軍事力や市民ではなく、国の収入基盤である「原油の輸出」にダメージを当てることにより相手の国際市場でのプレゼンスを削ぐことを目指すという「エネルギー戦争」の様相を呈してきている。
数字については、日量500万バレルの生産に影響がでていてこれはサウジの現有生産量の半分とのことであるが(この情報のソースはカタールのアルジャジーラ紙でも記載がない)、まずサウジアラビアの日量生産量は余剰生産力を含めると約1200万バレルなので、これを含めると半分は下回る。
https://www.demac.com/ru/the-saudi-plan-to-boost-spare-oil-production-capacity/
また、今回攻撃を受けたアブカイクとクライス油田であるが、500万バレルの日量生産量があるかどうかは不明である(そんなには無いと思われるので別途調べようと思います)
他の施設が合わせて攻撃されていれば別ではあるがこの点はやや過剰に見える。
サウジからの原油の輸入は全体の4割程度となっているのでその最大日本の輸入量の2割に影響が及ぶ可能性があるが、日本は約200日分の原油を備蓄している(アラムコ側にも貯蔵があるだろう)。また、下記の記事にもある通り発電用については原油の代替として調達源がより分散化しているガスがあるので当面は問題ないと思われるが、これまでよりも更に代替の調達ソースを念頭に安全保障を考える必要があるだろう
(調達源が分散されている原油の代替燃料としてガスは日本にとって重要である)
https://newspicks.com/news/4213282/フーシによる各種ミサイル、ドローンによるサウジ攻撃は発表によれば過去100回以上とも250回以上とも言われています。
この無尽蔵ともいえる兵力がイランから供与されていることはほぼ疑いありません。
攻撃の大部分はサウジの防空システムにより阻止されているようですが、今回の攻撃は、6月の南部アブハ空港へのドローン攻撃を上回る最大のダメージを与えたものとなりました。
攻撃に使われたのはフーシがガゼル2Kと呼ぶイランの軍用ドローンアバビルT(アメリカのRQ170センチネルのコピー品)などドローン10機とされていますが、現場からは明らかに巡航ミサイルと思われる破片も発見されています。
残骸の写真を見ると2017年にUAEのバラカ原子力発電所を攻撃(失敗)したとされるイランの巡航ミサイル、スーマールではなく、最新型のコッズ1巡航ミサイル(いずれもロシアのKH55のコピー)のようです。
イランが最新兵器までフーシに供与していることが明らかになった以上、サウジの防空網でも簡単に迎撃できないレベルになっていることは明白です。
2015年にサウジを始めとするアラブ連合軍が介入したイエメン内戦は、既に5年目を迎え戦況は泥沼化しています。
サウジの押すハディ政権はフーシからサヌアを奪還するどころか、UAEが支援する南部分離主義者に暫定首都アデンを奪われるなど3つ巴の戦いとなっており、イエメン内戦はサウジを徐々に破滅に追い込む胃潰瘍のような存在となりつつあります。
今回のフーシの攻撃は、内戦介入の影響が遂に自国の経済基盤にまで及びつつあることを明白にしました。
こうした事態が今後も続くなら、サウジとしては内戦から手を引くか、フーシの支援者であるイランとの全面対決に踏み込むか、厳しい選択を迫られることになる可能性があります。サウディアラビアでは毎日1千万バレルの原油が算出されます。そのうちの700万バレルが、今回爆発(4か所か5ヵ所)の起きたビカイクの施設で処理されています。もう一ヵ所、攻撃のあったというフライスの油田では、毎日150万バレルの原油が産出されます。
ビカイクとフライスの施設が完全に使えないとなれば、生産量の半分に影響してもおかしくないですが、おそらくまだ被害の把握とと再建の見通しはできていないのではないでしょうか。
攻撃に使われたのは、イエメンでサウディアラビアの侵攻を受けて戦争中であるフースィー派の声明では「ドローン10機」ですが、現場で見つかった残骸からは、少なくとも巡航ミサイル(イランのスーマール型)も使われていると見られています。