アップル、iPhoneに中国製有機ELパネル採用へ
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注目のコメント
驚きはない。
ディスプレイ業界ではBOEの大躍進は既に周知の事実であり、BOEの打ち出の小槌である地方政府の補助金がほぼ無尽蔵に出ることも相まって、すごい勢いで有機EL製造工場が立ち上がっている。また中国のBOEへの補助金の交付条件がかなりゆるいというのは聞いたことがある。雇用と稼働していれば良く、利益が上がっている必要は無かったりする。
B7とB11で対応するはずだが、規模感としては三星ディスプレイと同じくらいの規模の生産キャパシティを備えるとみられる。オンセルタッチも含めて、LGよりも早い立ち上げの可能性もある。(LGは大苦戦してきた)
金があって最新の設備があってもエンジニアがいないと立ち上げは難しいのではとも思われたが、三星で出世競争に敗れた人たちや一旗あげたい人たちが3倍近くの年収で雇用されており、ノウハウも割と筒抜けのようだ。
BOEは上述の通り、資金力が桁違いであり数千億円から1兆円を超える投資を続けており、これは殆ど中国そのものが私企業の皮を被っているのに近い。ここと競争してもフェアな競争にはならないので競争軸をずらしていくしかない。より良いものを早く開発するか、違う競争軸を新たに作るか、だ。三星の場合は既にTV用の大型液晶パネルで既にこの脅威を経験済。
アップル目線で考えれば三星、LGに続く3社目のサプライヤー選定を考えた時に、「自己資金が尽きており債務超過になっており、アップルからの資金援助が無ければ絶対に工場と設備が買えない」JDIと、じゃぶじゃぶ補助金だろうが「既に他社向け量産実績がある設備がある」BOEとではいくらなんでも、迷う余地が無い。
あと梅林さんがコメントしてくださっているが関税はこの件とはあまり関係が無い。完成品組立工場は鴻海で深センなどにあるので。ファーウェイもフラッグシップにBOEを採用してましたね。それにしても補助金問題はもめそう。
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BOEは北京市の政府系組織などが大株主で、18年には純利益の約6割に相当する補助金を受けたことが製品の低価格化につながっているとみられる。アップル向けに有機ELパネルを供給する拠点の候補である綿陽工場では、投資額約7千億円のうちBOEの負担は1割程度で、大部分は政府系組織や金融機関が賄った。やはりBOEか。BOEはずっと有機EL投資をこれまでもやってきた。
2016年の時点で中小型液晶からは撤退の意思決定という報道があった(①)。早くからOLEDとTV用大型液晶に注力していたと思う。2017年にはG6を稼働(②)、またApple向けに有機ELラインを建設するという報道も出ていた(③)。そしてテレビ用液晶と併せて、このところは1.6兆円もの金額を投資していた(④)。
これまで中華系スマホでは結構使われていたと思うが、Appleはマルチサプライヤを志向しながらもSamsung単独発注を続けてきた。これでSamsungとの交渉力がどうなるか(価格も在庫責任も)、またどれだけ発注するのかとかも今後の注目点。
①https://newspicks.com/news/1738274
②https://newspicks.com/news/2585131
③https://newspicks.com/news/2658612
④https://newspicks.com/news/2876931