投票行動データから浮かび上がる「希望分断社会」
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参院選の出口調査では全国で16万を超すサンプルを集めましたが、報道機関が出口調査を行う主目的は当落判定のため、なかなかこのような質問を付け足すことができません。非確率的なネットのパネル調査と思われますので世論調査とも出口調査とも対象の選び方が異なる点は留意する必要があると思いますが、社会観によってきれいに傾向が切り取られていて、とても興味深いと思います。
年代や年収、学歴といった属性によって傾向に違いがないかは調べたことがありますが、日本の場合、2大政党が確立している米国のようにくっきりした違いは浮かびません。そこで、社会観で切ってみるという着眼点は「技あり」と感じます。短時間で多くの回答を集めることができるネット調査の活用方法としても、参考になる事例です。元のグラフを見ると、努力が報われない、明るい社会だとは思わない、と回答した人がかなりの多数派です。現代日本人は幸福感が高いという各種の調査結果とやや趣きが異なるようです。
希望を持っている人が与党支持、希望を持てない人が野党支持という結果を「希望分断社会」と命名していますが、希望を持てない人が多数派なのにそれを取り込めない野党の弱さが浮き彫りになった、と私は受け止めました。希望を持てない人が希望を持てる社会の実現に動けないことが、この社会の病理なのかと思ったりもします。今回の参院選の投開票日に合わせて、有志で投票行動と社会的分断を分析するチームを結成し、日本が「希望分断社会」なのではないかという結論に至った分析記事です。
日本でも次第に語られ始めた「社会的分断」。しかし、それが政治的な文脈ではどのようなものなのかを実際に分析したものをほとんどないと思われます。
そのような中で、社会的属性や社会観などをもとに投票行動データを分析した結果、大変興味深い日本型の分断が見えてきました。
最良の分析記事をぜひお楽しみいただきたいです。