アップルが日本企業と知財無償提供契約 公取委調査
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ベンチャー企業や中小企業は、特許や商標などの知的財産権について、重視していなかったり、そもそも、その存在すら知らなかったりします。
しかし、現状、何らの知財の武器なしに、世の中に商品・サービスをリリースすることは、知財で完全武装されている群雄割拠の世の中に、丸腰で飛び込むようなものです。
この記事は、知財がなければ、不利な契約うんぬんの前に、そもそも交渉のテーブルにすら、つけないことを明らかにしている記事でもあると思います。
なお、巨大企業が欲しがる程の知財を保有する企業の対抗策としては、当該特許を活かした製品づくりや、商標を基礎としたブランドづくり、特許流通データベースやJ-STOREなどに特許を掲載し、ライセンス契約する企業を模索すること等が考えられます。
もちろん、特許無効審判や、商標の不使用取消審判などを請求される場合もあり、体力的に厳しい戦いとなることも予想されます。
しかし、アップルの「iPhone」の商標は、「アイホン株式会社」の登録商標「iPhone」のライセンスに基づき、使用されていることや、
iPodの「クリックホイール」などの例もありますので、
安易に知財無償提供の契約はせず、きちんとその適否を見極める必要があるといえそうです。
注目のコメント
記事はある化学工業大手の事例を紹介しています。
法務担当者は、携帯電話に使用される部品のサンプルを提供する際、アップルから示された契約を見て憤ったといいます。「これでは知的財産の召し上げだ」。提供された知的財産を、アップルとその関連会社が自由に使えるとの内容だったからです。交渉を重ねましたが、アップルに翻意する様子は見えず、最後は経営陣が「世界的な企業と取引する実績は大きなメリットがある」と折れたそうです。幹部は「アップルという名前に押し込まれた。技術やノウハウはいったん明かしてしまったら守れない」と漏らしたと伝えています。
公取委の判断が注目されます。この事例を見る限り、独禁法が禁じる「優先的地位の濫用」にあたる疑いは濃厚です。「実はアップルの製品に生かされています!」というのが効果的な宣伝になるなら、まだましかもしれませんが、そういったこともなく一方的に搾取されているような印象です。大きくなれば、リスクもお金で解決できるのかもしれませんが、小さな綻びが大きな亀裂になる可能性もあります。慎重になるべきでしょう。