[メンロパーク(米カリフォルニア州)/ボストン 30日 ロイター] - 米フェイスブック<FB.O>は30日に開いた年次株主総会で、議決権構造の見直しやザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の会長職解任など改革を求める株主の提案に再び直面した。

議決権に差がある2種類の株式を発行する「デュアル・クラス株式」構造により、ザッカーバーグ氏とその他の内部関係者は議決権株式の約58%を支配しており、これらの提案が通る可能性はほとんどない。

ザッカーバーグ氏は独立した取締役会長を置くことになぜ同意しないのかとの株主からの質問には答えず、規制当局はプライバシーやコンテンツに関する規則を定めるべきとの見解を改めて示した。

株主投票は象徴的な意味合いが強いものの、コンテンツに対する傍観主義的なアプローチを巡り、かつてないほどの課題に直面する同社に対する投資家のセンチメントを測るには依然として有効とみられる。

昨年の総会では、多議決権を廃止し1株当たり1票の議決権を付与する構造を求める提案に外部の投資家の約83%が賛成票を投じた。

今年の総会では会場となったホテルの前で、特にマイノリティーに対するヘイトスピーチなどの嫌がらせを念頭に同社がユーザーを保護できていないとして、怒り顔の絵文字を描いた大きなバルーンを掲げて抗議する人たちがみられた。

また消費者団体「マジョリティー・アクション」と公民権擁護団体「カラー・オブ・チェンジ」が主導するグループは、フェイスブックの主要な外部投資家の1社であるブラックロック<BLK.N>を標的にした嘆願書に12万5000人の署名が集まったと明らかにした。

ブラックロックのファンドは昨年、フェイスブックの取締役員に指名された人物すべてを支持したが、同社のガバナンス構造の再編につながる2件の株主提案にも賛成票を投じた。

ブラックロックは嘆願書に関するコメントを控えた。

その他の株主らは総会で、フェイスブックが保守的な見解を持つ人々にとって「敵対的な職場環境」をもたらしているとして、ダイバーシティー(多様性)に関する報告書をまとめて方針を説明するよう要求した。

一方で、フェイスブックの株価は直近の四半期決算発表以降10%上昇しており、同社を巡るスキャンダルを重要視しない投資家も多い。

同社の主要投資家である米投資信託フィデリティ・コントラファンド<FCNTX.O>のウィリアム・ダノフ氏は直近の投資家向けリポートで、フェイスブックのプライバシーを巡る問題にまったく言及せず、さまざまなアプリの成長や広告収入に基づくと「(フェイスブックは)われわれにとって魅力的」と指摘している。