どん底を味わった男の逆転劇。野菜シート「ベジート」開発秘話

2019/5/5
ショート寸前
2014年4月、早田圭介は追い詰められていた。サンドバッグ状態になっているボクサーのようなもので、数秒後に待っているのはレフェリーストップか、ノックアウトか。
具体的には、資金が尽きた。前年の2013年10月、不覚にも自身が育て上げたバス事業を失った早田は、手元に残った唯一の可能性、世界初の商品、厚さ0.1ミリの野菜シート「VEGHEET(ベジート)」の開発に懸けた。
その年の年末に2社から2000万円の出資を受けると、1500万円を投じて新しいマシンを購入。従業員を雇う余裕もなく、早田は妻と2人で、寝る間を惜しんで研究に打ち込んだ。
試行錯誤を続ければ続けるほど、材料や設備などの費用がかさむ。出資先には翌年4月には完成すると伝えていたが、納得するものができる前に残りの500万円がなくなった。
恥を忍んで、信頼できる友人、知人を訪ねては借金を頼み込んだ。しかし、見たこともない、いつ完成するかもわからない商品を作っている人間にお金を貸す人はいなかった。
2004年から多額の資金を投じて挑んできたベジートの開発は、風前の灯火だった――。
御用聞きの営業