【インスタ創業者】完璧を目指すな、不完全なものを愛そう

2019/4/25
2010年に設立、12年にフェイスブックに10億ドル買収され、18年には世界ユーザー数が1億人を超えるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いのインスタグラムは、いったいどのように生まれたのか。

「Masters of Scale(マスターズ・オブ・スケール)」のリード・ホフマン氏が、18年9月にCEO退任を電撃発表したケビン・シストロム氏に、創業当初の話を聞いた(インタビューが行われたのは18年5月)。
Listen to Masters of Scale at applepodcasts.com/mastersofscale and follow us Twitter.com/mastersofscale.
ホフマン インスタグラムといえば、正方形のフレームと使いやすいフィルターのおかげで、誰でもクールな写真が撮れるのが魅力ですが、そのアイデアはどこからきたのですか?
シストロム スタンフォードにいるとき、どこかに留学したいと思いました。語学は苦手なのですが、一番簡単だと言われたイタリア語を学びはじめてみると、とても楽しい。
そこで「よし、イタリアに留学しよう。コーヒーもアートも美術史も好きだし」となりました。
(写真:ANGEL FRANCO/The New York Times)
実は、スタンフォードの専攻に美術史を考えていた時期もあったんです。私はアート全般、とくに線遠近法などアートの科学とでも呼ぶべきものが大好きでした。
ところがフィレンツェの大学で、すごい望遠レンズのカメラを持って現れた私を見て、教授は「ノー、ノー、ノー」と言うんです。
私自身は、そのカメラは完璧主義の私の性格を体現する存在だと思っていたのですが、教授は、「ここで目指すのは完璧じゃない。それを貸せ」と言う。