アマゾンの貨物機墜落で見えた「空のブラック企業」の実態
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LCCが勃興している中で、世界的にパイロットの需給はタイト。
航空ファンの間では有名なOne mile at a timeでもどこまでが本等かは分からないという注釈在りつつも、域外からアジアに赴任したパイロットについて下記のような記事があった。
安全関連もだが、リスク関連コストはリスクが顕在化するまではコストでしかないが、顕在化した瞬間にそのコスト以上の経営危機につながる。すべてのリスクを現実論としてつぶせるわけではないが、リスクに対してのコストの軽視は継続性を著しく下げる。
https://onemileatatime.com/expat-pilots-in-asia/アマゾンが機体を借り切っている貨物航空会社には、アトラス航空とAir Transport International社(ATI)の2社があります。規模はだいたい20機づつで同等ですが、今後ATIのほうにさらに10機分の契約を追加したというニュースも流れています。
当該事故の原因については現在調査中ですが、ボイスレコーダーを聞いたところでは急速にコントロールを失ったように見受けられる、と運輸安全委員会からコメントされている程度で、なお時間がかかりそうです。当時は気象条件も決して良好ではありませんでしたが、上空2000mにいる機体を一瞬で叩き落とすような状況は見受けられませんし、機体の異常など複合的な要因であった可能性が高く、安易に労働環境に話を持って行かない方が良いのではと思います。
しかしながらこのような報道が出てくること自体、少なくともパイロットには評判の良くない航空会社であることがバレてしまっている、ということになるのでしょう。パイロットの数が限られる中、レギュレーションいっぱいまでパイロットを使う会社も増えており、需給がタイトな状況はすぐには改善しそうにありません。アマゾンによるチャーター便は米国国内線とのことですから、パイロットにしてみれば離着陸回数も多く、目が回るような忙しさなのかも知れません。
こういった場合、便数を増やすのではなく機体を大きくして需要に応えるのが業界の正攻法ですが、速達性が売りのアマゾンがどこまで妥協するかは微妙です。日本でもクロネコヤマトとの契約が切れたことで話題となりましたが、似たような問題は米国でもある、というところでしょうか。墜落事故のアトラス航空に関する記事です。
パッと見たところ営業利益率は二桁あるものの、機材関連の支払いが多くフリーキャッシュフローは赤字基調で、パイロットの確保のために喜んで賃上げする環境とは言えなさそうです(あくまでさらっと見ただけですので誤解があればご容赦を)。
パイロットのボトルネックは陸も空もということでしょうか。アマゾンが大きくなるにつれて、商用車の無人走行が案外早く普及するかもしれないと想像させられました。