(ブルームバーグ): 米中両国は通商合意に近づいている。合意に至れば、中国が知的財産権の保護強化や米製品の大量購入など公約を履行した場合に限り、米国が昨年から課している対中関税の全てか大半が撤回される可能性が強い。協議に詳しい関係者2人が明らかにした。協議に関して公に話す権限がないとして匿名で語った。

これら関係者によれば、中国側は米国との最近の協議で、中国製品2000億ドル(約22兆3700億円)相当を対象とした関税の早期撤回がいかなる通商合意の決着にも必要だとの立場を明確にした。米国は昨年、中国からの輸入品500億ドル相当に追加関税を賦課、8カ月に及ぶ米中貿易戦争の口火を切った。その後、中国が報復措置を講じ、米国はさらに2000億ドル相当の輸入品に関税を発動した。

依然残る問題の1つは、関税を直ちに撤回するか、それとも中国の公約履行を米国が監視できるよう一定の期間を設けて撤回するかだと、関係者らは語った。米国は、中国に合意条件を確実に守らせるよう引き続き関税の脅しを維持したい意向で、関税の完全撤廃は中国が合意事項全てを履行してからにしたい考えだ。

また関係者1人によると、米国は現在進行中の交渉の一環として、中国に合意を履行させるため米国が課すかもしれない関税に中国側が報復措置を講じたり、世界貿易機関(WTO)に提訴したりしないよう要求した。

米中両国の当局者が匿名で明らかにしたところでは、米中首脳会談の日程はまだ合意に至っていない。米中が通商合意に近づいていると先に報じた米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、米中首脳会談が3月27日前後に開催される可能性があると伝えた。

中国では3月前半に全国人民代表大会(全人代)が開催されるほか、習近平国家主席が他に外遊を予定しているため、合意署名式典のための首脳会談の設定は容易ではない。

WSJが匿名の情報源を引用して報じたところでは、中国は米国からの農産品、化学製品、自動車などの輸入品に対する関税を引き下げることを提案。事情に詳しい関係者の1人によると、具体的には中国はヒューストンに本拠を置くシェニエール・エナジーから天然ガス180億ドル相当を購入する計画だとしている。

交渉の一環として、中国は海外自動車メーカーに課している自動車合弁への出資制限の撤廃予定を早めるほか、自動車輸入関税を現行の15%から引き下げる意向も示していると同紙は伝えた。

ブルームバーグは1日、ホワイトハウスが早ければ3月半ばに米中首脳会談を開催することを検討していると報じた。

原題:U.S., China Said Near Deal That Could End Most U.S. Tariffs (3)(抜粋)

(米中首脳会談の日程に関する情報などを追加して更新します.)

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