【新】ヤフー第1号社員が述懐、日本インターネットの「夜明け前」

2019/3/4
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第180回(全6回)は、神戸で学びの場「リベルタ学舎」を展開し、兵庫県広報官を務める湯川カナ氏が登場する。
湯川氏は、かなりユニークな経歴の持ち主だ。司法試験合格を目指し早稲田大学に通っていた1995年、後のガンホー代表で孫正義氏の弟である孫泰蔵氏と出会い、Yahoo! JAPANの立ち上げに参画。
多くの人がワープロとパソコンの区別がつかなかった時代に、社員第1号としてヤフーの黎明期を支えた。しかし、高額のストックオプションを提示されたことを機に退職、スペインへ移住してしまう。
スペインでフリーライターとして活動するうち、日本ではまったく面識のなかった糸井重里氏や内田樹氏とインターネットを介して知り合い、2氏のウェブサイトでスペイン生活をつづったコラムを担当した。
国の情勢不安でスペイン退去を余儀なくされた彼女が次に選んだ居住地は、今までにまったく縁のない神戸。
その神戸を「押しかけ故郷」と称し、学びの場「リベルタ学舎」を運営する湯川氏。いろいろな人を巻き込み、また巻き込まれるうちに、2018年からは「兵庫県広報官」として公職も担う。
高額のストックオプションを提示され、喜ぶどころかそれを蹴って退職したのはなぜか。コネのない状態から糸井氏や内田氏とコンタクトを取る際の、彼女の「心がけ」とは。
そしてスペインで得た経験をもとに、彼女が発信する人間の本質とは。
ヤフー立ち上げ、スペインでライター、神戸で学びの場と一見バラバラに見える湯川氏のキャリアを丁寧にたどると、その根底には「生きる力を信じる」という共通のテーマが流れていた。
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──とてもユニークな経歴をお持ちの湯川さんですが、現在はどのような活動をしていますか。
湯川 神戸で「リベルタ学舎」という一般社団法人を運営しています。これから私たちが体験する人類史上初の人口減少や、テクノロジーの進化で時代が急激に変化しても生きていけるように、「生き延びる知恵を高める、学びの場」というキャッチフレーズで、講座やセミナー、コミュニティ作り、メディア事業などを行っています。
また2018年4月からは兵庫県で初となる民間人登用の広報官に任命され、県庁に週2日出勤し、広報活動に携わっています。
湯川 カナ(ゆかわ・かな)/一般社団法人リベルタ学舎 代表・兵庫県広報官
早稲田大学在学中、孫泰蔵氏(起業家、孫正義氏の弟)の学生起業に参加した縁で、Yahoo! JAPAN創設メンバーとなる。数億円分のストックオプション権を返上し、言葉もわからないスペインへ。10年間、『ほぼ日刊イトイ新聞』をはじめフリーライターとして活動。帰国後、女性や若者の社会参画と仕事創出を支援する「リベルタ学舎」を設立。地元企業との連携事業、学生交流拠点等を手がける。2018年4月より兵庫県広報官。著書4冊。シングルマザー。
──長崎のご出身だそうですね。
生まれたのは長崎市内で、3歳から高校卒業までは諫早市で過ごしました。よくある地方都市という感じのニュータウンです。
──どんな子ども時代でしたか。
小・中学生の頃から、早くも「学生運動」をするような子でした。髪型や持ち物が学校から指定されるのが、我慢できなかったんです。
小学校の会長選挙で「君たちの足につながっているのは透明な鎖だけだ、さあ立ち上がれ!」とか言って、みんなの意見を集めて校則を変えていったりしました。