【湯川カナ】人を蹴落とさなくていい。ヨーロッパの助け合い精神

2019/3/5

スペインを選んだ意外な理由

──ヤフーを退職し、ゼロからスタートできる場を求めてスペインに移住しましたが、なぜスペインだったのですか。
湯川 とにかくITバブルに浮かれている日本を出られたら、どこでもよかったというのが正直なところです。
ヤフー時代、担当していたのが「世界の国と地域」というカテゴリーだったので、「明日の朝に、カテゴリーのリストで一番上に出てきた国で、英語圏でないところに行こう」と決めて、出たのがスペインでした。
──英語圏ではない国と思ったのはどうしてですか。
英語圏だと、それなりに言葉が通じてしまうと思ったからです。自分にとって何が一番大事なのかを見つけるため、無人島で生活したいくらい、本当にゼロから始めたかった。
この取材を機に振り返って改めて気づいたんですが、アメリカ的な世界に絶望したんだと思います。大好きだった日本国憲法もアメリカから与えられたもので、インターネットもアメリカ。ヤフー時代までの私は、アメリカの子みたいでした。
湯川 カナ(ゆかわ・かな)/一般社団法人リベルタ学舎代表・兵庫県広報官
──なるほど。湯川さんは「言葉が通じない国に行くことでは、人間は死なない。ジョン万次郎も死ななかった」と言っていて、その観点が興味深いです。