マラリア防ぐワクチンの臨床試験始める 日本人研究者の創薬ベンチャー
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マラリアは日本では旅行者にほぼ限定された、あまり話題にならない感染症ですから、この記事が日本人に向けてどこまで響くかはわかりませんが、世界で見れば毎年40万人の命を奪い続けている、最大の寄生虫感染症で、とても重大なトピックです。
マラリアがどれほど大きな問題であり続け、人間の歴史に影響を与えているかということを物語る病気があります。鎌状赤血球症という遺伝性の疾患です。この病気の方は赤血球が鎌のような形をしているため、うまく血管の中を旅できず、途中で壊れてしまったりするため、貧血や血栓症を起こしてしまいます。有効な治療が見つかるまでは、この遺伝的疾患で長生きすることが難しかったこともあり、この病気をお持ちの方は歴史的に減っていくことが推測されました。しかし、実際には、マラリア流行地域に限定して、数多くの鎌状赤血球症の患者さんがいらっしゃいます。
というのも、マラリアは赤血球に感染するのですが、鎌状の赤血球にはうまく感染できないのです。このため、マラリア流行地域では鎌状赤血球を持つ方がマラリアにかからずに長生きができ、この遺伝病を持つ方が相対的に増えた、と言われています。それほど、マラリアは人の命に影響を与えてきた、とも言い換えることができます。
マラリアの予防は現時点では、虫刺されを避けることが基本で、流行地域へ渡航する方には、抗マラリア薬の予防内服も推奨されます。日本人目線ではこのような話になりますが、流行地域目線では、蚊の駆除や感染時の迅速な投薬といった対応が現実的になっています。しかし、これに加えて、有効なワクチンができると、いよいよマラリアの世界的な根絶ということも視野に入ってくるかもしれませんし、流行地域の方々にとっては革命的な開発になるかもしれません。アフリカなどで多くの子どもの命を奪っているマラリアですが、実用化に至ったワクチンはまだありません。米国メリーランド州で日本人研究者が設立した創薬ベンチャーが、FDAの許可を受け、感染を防ぐワクチンの臨床試験を始めました。
ウイルスの殻と同じ構造の微粒子(VLP)にマラリアの抗原をくっつけた構造で、投与すると体内で抗体が作られます。同社ではVLPを使ったがんワクチンの研究開発も進めているそうです。とうとうマラリアにもワクチンが生まれるかもしれません。
大勢の命を奪う病気に対するワクチンがうまれるのは、本当に凄い出来事です!このワクチンでその病気を撲滅し、多くの命を救える可能性があるからです。
一方で、折角のワクチンも打たれなければどうしようもありません。
もしもこの世にワクチンが無かったら、多分ドラえもんに出してもらいたいレベルの発明ですよね!
もっともっとワクチンが普及すれば、世界から見た日本の医療の価値は高まります。