今年はビジネスをテーマにした映画がたくさん公開される。興味深いドキュメンタリー作品や長編映画が何本も、映画館で公開されたりストリーミング配信されたりすることが決まっている。

ケンブリッジ・アナリティカによるスキャンダルの余波から、マラウイの村を風力発電で救おうと決心した13歳の少年の物語まで、2019年公開の映画にはビジネスオーナーに刺激を与えてくれそうな作品が盛りだくさんだ。すべての起業家が観るべき8本の映画を紹介しよう。

1.『Ford v. Ferrari』

1960年代、自動車メーカー、フォードの社長を当時務めていたヘンリー・フォード2世が、高級スポーツカーメーカー、フェラーリの買収を試みる。だが、この計画はギリギリのところで失敗に終わってしまう。
『Ford v. Ferrari』は、失意のヘンリー・フォード2世がリベンジを願うようになり、世界で最も歴史あるスポーツカー耐久レース「ル・マン」でフェラーリの車を破れるような新しい車を作ろうとする様子を描く。主演はマット・デイモンとクリスチャン・ベール。2019年6月28日全米公開だ。

2.『The Boy Who Harnessed the Wind』

マラウイに暮らすウィリアム・カムクバンバは、13歳で学校を中退しなければならなくなってしまう。それでもカムクバンバは学ぶことを諦めず、学校の図書館に忍び込んで風力タービンの作り方を学び、それが彼の村を飢饉から救うことになる。
同名の実話原作(邦訳:『風をつかまえたウィリアム』さえら書房、文庫版は『風をつかまえた少年』文藝春秋)の映画化となる本作は、キウェテル・イジョフォーが監督を務めている。2019年にNetflixで配信予定。

3.『American Factory』

オハイオ州モレーンにあるゼネラルモーターズの工場跡地で、2016年に自動車用ガラスの工場を始めた中国の億万長者、曹徳旺を追ったドキュメンタリー作品。
従業員2000人を雇用した曹だったが、中国的な作業基準に馴染まない彼らをまとめていくのに苦労する。2019年1月のサンダンス映画祭で初公開予定。

4.『The Great Hack』

Facebookとケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルの元凶となった、データ漏洩についてのドキュメンタリー。事件の影響についてはいまだに解明が続いている。
映画ではハッキングした側とされた側、両方の立場の人たち、それぞれが辿ってきた道のりに焦点を当てている。さらに、データがどのように「武器」化され、政治的な戦いを仕掛けたり、文化的断絶を深めたりするために使われているのかにも迫っている。2019年1月のサンダンス映画祭で初公開予定。

5.『The Inventor: Out for Blood in Silicon Valley』

セラノス創業者のエリザベス・ホームズは、同社のデバイス「エジソン」を使えば、血液を1回採取するだけで数十種類もの血液検査を実施できると主張し、スティーブ・ジョブスの再来などと言われていた。だが結局のところ、すべては嘘だった。
このドキュメンタリーは、関係者のインタビューや初公開の映像などを通して、すでに解散したこの血液検査スタートアップと、詐欺の罪で起訴されているホームズのストーリーを描き出している。2019年1月のサンダンス映画祭で初公開予定。

6.『The Biggest Little Farm』

約10年前、ドキュメンタリー作家のジョン・チェスターと彼の妻は、都会での生活を捨てて、ロサンゼルスから離れた場所にサステイナブルな農場を作ることにし、その過程をすべて映像におさめてきた。
2人の夢であるアプリコット・レーン農場を現実のものにするために、コヨーテから果物を荒らすカタツムリまで、ありとあらゆるものと戦ってきた夫婦の、数々の失敗もあった8年間の年月を追った作品。2019年1月のサンダンス映画祭で初公開予定。

7.『家族のレシピ』

若きラーメン職人がシンガポールを訪れ、新しい料理方法を見出すと同時に、亡くなったシンガポール人の母親について知らなかったことをつきとめる。そして仕事に意欲を燃やす彼は、母親のレシピについて学んだことを、急成長する自分たちのラーメン店にも取り入れていく。
すでに世界各国の映画祭で上映されている本作は、米国で2019年に公開予定だ(NP注:斎藤工主演、シンガポール・日本・フランス合作。日本では2019年3月9日よりロードショー上映)。

8.『Fighting With My Family』

全国の小さな会場を巡業しているプロレスラー家族の実話をベースにしたコメディ作品。「ザ・ロック」ことドウェイン・ジョンソンも出演する。
一家の子どもたちが夢を追って、プロレス団体WWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)のオーディションを受けるという展開に緊張感が高まる。2019年2月14日全米公開。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Emily Canal/Staff writer, Inc.com、翻訳:半井明里/ガリレオ、写真:RomoloTavani/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.