【蛯原健】視界不良のなか「スタートアップ格差社会」に突入へ

2018/12/30

米中テクノロジー冷戦

2018は「米中テクノロジー冷戦」すなわち、米中国家間のテクノロジーにまつわる経済、軍事、地政学における多面的かつ深刻な対立が極まった年となった。
師走にはそれを象徴するような大事件、中国を代表するハイテク企業の華為技術(ファーウェイ)の創業家の娘の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)がアメリカ司法省からの要請を受けてカナダで逮捕されるという事件が起こり、世界に激震が走った。
その後、中国側でも複数の中国在住カナダ事業家の身柄拘束・失踪事件に発展する等、2019年に更なる国際間摩擦の火種を残している。
ひるがえって中国国内の業界動向はどうか。
アリババグループの創業者、ジャック・マーの突如の引退発表、そして同氏が実は中国共産党員だったという驚きの暴露報道まで飛び出した。
またアリババと双璧をなすテンセントは主力のゲーム事業における国家当局の規制が強化されたことにより、上場以来初の減益に陥りその企業価値の約1/3があっという間に吹き飛んだ。
アリババに次ぐ中国第2位Eコマースの京東(JD)に至っては創業社長が渡米中にセクハラスキャンダルで逮捕されるという事態も発生し、企業価値は実に半分となった。