【農業改革請負人】農家と消費者をつなぎ、農業界の“メルカリ”を目指す

2018/12/29
「農業は稼げない」「継がせたくない」──。農家に生まれた秋元里奈氏が、親からかけられた言葉だ。彼女は今、その農業界でビジネスを立ち上げている。
新卒でディー・エヌ・エーに入社し、25歳で起業。その背景にあるのは、農業界をアップデートしたいという強い想いだ。実家で営んでいた農業が廃業されたことをきっかけに、農業界の課題を知った秋元氏。その中で流通の問題に着目し、解決するために「食べチョク」というサービスを開始した。
確固たる原動力を持つ「農業革命の請負人」に、次世代の農業ビジネスについて話を聞いた。

「稼げない」農業を変えたい

──事業について、教えてください。
2017年8月から、野菜や果物など、農作物の生産者と消費者をダイレクトにつなぐ「食べチョク」と、生産者と飲食店をダイレクトにつなぐ「食べチョクPro」を運営しています。どちらも、農作物に特化した、直販のプラットフォームです。
秋元里奈(あきもと・りな)/株式会社ビビッドガーデン 代表取締役 CEO
1991年、神奈川県相模原市の農家に生まれる。慶應義塾大学理工学部を卒業した後、株式会社ディー・エヌ・エーへ入社。webサービスのディレクター、営業チームリーダー、新規事業の立ち上げを経験した後、スマートフォンアプリの宣伝プロデューサーに就任。その後退職し、2016年11月に株式会社ビビッドガーデンを創業。
起業した原点は、私の実家がもともと農業を営んでいたことです。親には昔から「稼げないから継ぐな」と言われていましたが、実際に、中学生の頃に廃業してしまいました。今では畑のほとんどが空き地になっています。
農業の世界では、実家に似た境遇の人が多くいます。「子どもに継がせたくない」と思っている農家も、少なくありません。農家がしっかりと稼げるシステムをつくらないと、誰も就農しなくなると危機感を覚えました。
──稼げない原因はどこにあるのでしょうか?
理由はいくつかあります。その中でも私が強く感じているのは、「農作物が正当な価格で販売されていないこと」です。