【小林喜光】平成は「敗北の時代」。日本人よ、怒りを持て

2018/12/17
2019年4月30日。「平成」という1つの時代が終わる。この約30年間で日本はどう変わり、どう変わっていくべきなのだろうか──。
NewsPicksの年末特別特集「2019大予測」がフォーカスする大テーマの1つは、「平成をアップデートせよ」。各界の有識者に平成を総括してもらい、「平成の次の時代(ポスト平成)」についての思いを語る。
1人目は、国内の経済3団体の1つ、経済同友会でトップを務める小林喜光・三菱ケミカルホールディングス会長(72)である。
小林氏は、2015年4月に経済同友会の代表幹事に就任して以来、「過去の延長線上に未来はない」と訴え続けてきた。2019年4月に代表幹事の任期満了を控えるなか、経営者人生の集大成として、2045年という「戦後100年」に向けて、日本をアップデートする提言「Japan 2.0」を12月に取りまとめた。
約1500人の経営者の代表である小林氏が、日本経済への危機感、そして、進むべき道を長期的な視点で展望する(全2回)。
小林喜光(こばやし・よしみつ)1946年生まれ。1971年東京大学大学院理学系研究科相関理化学修士課程修了。1972年ヘブライ大学(イスラエル)物理化学科、1973年ピサ大学(イタリア)化学科留学を経て、1974年に三菱化成工業(現・三菱ケミカル)入社。1975年、東京大学で博士号取得(理学)。2003年三菱化学執行役員、2005年同社常務執行役員。2006年三菱ケミカルHD取締役、2007年三菱ケミカルHD社長兼三菱化学社長。2008年10月に経済同友会に入会し、2010年度に幹事、2011〜14年度副代表幹事。2012〜17年まで三菱化学会長 、2015年4月三菱ケミカルHD会長。2015年度より経済同友会で代表幹事を務め、2019年4月26日の通常総会をもって退任予定。著書に『地球と共存する経営』『KAITEKI化学』など (撮影:大隅智洋)

敗北と挫折の30年だった

──まず、小林代表幹事は「平成の30年」をどう総括しますか。
小林 私は「敗北の時代」だったと考えています。完全に「挫折の時代」だったという認識で、それに尽きます。
第二次世界大戦後の日本は、敗戦を経験した後で、まさに「負けた」という意識を持っていました。だからこそ、日本企業も国民も「復興しよう」と強く考えていました。
翻って、今の状況はどうでしょう。