【返信】新産革機構CEOへ送る、「高額報酬論争」もう1つの真実

2018/12/8
11月24日の午後2時、都内ホテルの会議室に、経済産業省と、所管する産業革新投資機構(JIC)の幹部らが集まった。
メンバーは、経産省側から嶋田隆・事務次官、JIC側から田中正明社長CEOを含む、各4名ずつ、計8名。
彼らはまず、最大1億円を超えるJIC役員の高額報酬について、経産省が「白紙撤回」を求めたことを受けて、改めて話し合いを開始。
次に、今年9月に発足したばかりのJICの、これからの運営のあり方についても議論した。たっぷり話し合えるよう、部屋は午後8時まで、6時間も押さえてあった。
異変が起きたのは、2時間が経過した午後4時過ぎ。
「お前たちは信用ならん!」
田中社長は資料を机に叩きつけ、部屋を出ていったのである。
こうして12月3日、経済産業省が前代未聞のリリースを公表するに至った。
JICが高額の役員報酬を申請したことに対し、経産省が「認可しない」というリリースを発表したことを受け、経産省と、所管する官民ファンドの揉め事という、前代未聞の“大ゲンカ”が世に知れ渡ったのだ
【直撃】新産革機構CEOが語る、「高額報酬バトル」のすべて
NewsPicksは先日、JICの田中社長を直撃し、彼の主張をまとめたインタビューを掲載した。しかし、結論を先に言えば、経産省側から見る「景色」はまた異なっていた。
今回は、世耕弘成・経産相の会見や、田中社長との交渉をメインで行ってきた佐々木啓介・産業創造課長、および経産省関係者らへの取材を元に、経産省側の主張を、田中社長への「返信」という形でお届けしよう。

報酬の「白紙撤回」は反省

>田中 「報酬の額が減る云々」が不満だったわけではなく、一旦決めたこと、しかも「紙」で提示したことを、経産省に一方的に破棄された、それが問題なんですよ。
A. これは、経産省としても「悪かった」と思っている。