【横山和輝】経済学で読み解く、古代「律令制」の仕組み

2018/12/17
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第169回(全5回)は昨年、本コーナーでの「お金と市場の日本史」で好評を博した、名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授の横山和輝氏が登場する。
今年のノーベル経済学賞は、過去(歴史)の技術変化や気候変動データから経済成長を分析したノードハウス教授らが受賞。「彼らの業績に限らず、ここ最近の経済学は現代とは異なる状況を視野に入れることの大切さに気づき始めたとも言える」と横山氏は語る。
そんな横山氏が、本年9月、新刊となる『日本史で学ぶ経済学』(東洋経済新報社)を出版した。本特集では、この新刊の中から昨年の特集では扱わなかった、「インセンティブの経済学」と「取引コストの経済学」という新たなトピックについて解説してもらう。
今回、取り上げる歴史の事例は、「インセンティブの経済学」については奈良・平安時代の「律令制」、そして「取引コストの経済学」は徳川時代の「享保の改革」だ。
現代の組織変革や働き方改革を考える上でも、多くの示唆が含まれている──

インセンティブの経済学とは

──昨年も好評を博した、横山先生の歴史講座。今回の特集では、新刊『日本史で学ぶ経済学』でも扱われている「インセンティブの経済学」と「取引コストの経済学」について、日本の歴史を事例に解説してもらいます。