堀江貴文は、過小評価されている

2018/12/6

中央線vs.六本木

──前回は「従来のマスコミはユーザーに対して閉じすぎていたけど、今のソーシャルメディアはユーザーに対して開きすぎている」というお話でした。NewsPicksは、その課題解決を目指しているわけですが……。
宇野 読者層の違いもありますよね。
旧来のメディアが、朝日新聞の文化欄をしげしげと読んでいるような、中央線沿線のすでに滅びた文化の形骸(けいがい)を追いかけている「文化よりも文化的な自分が好き」な層をお客さんにしているとすれば、NewsPicksのお客さんは、地頭とお金はあるけれど、人並みの繊細さを欠いた六本木のエコノミックアニマルという印象です。
そのどちらを選ぶか……みたいなことは、僕もずっと考えていたのですが、結論としては、やはり後者を選びたい。
──その理由は?
今、仕事ができない編集者ほど、ゴールデン街で飲みたがりますよね。あるいは、カッコつけたいけどセンスの悪いデザイナーほど、中目黒とかに事務所を構える。旧来のカルチャーは、もはやそういうパロディになってしまった。
戦後の中流カルチャーの最盛期は90年代だと思いますが、あの頃に思春期を過ごした僕らの世代が、どんどんコスプレばかりして、中身がなくなってしまっている。
かつて文化と呼ばれていたものの残り香を吸うことに一生懸命で、新しい文化を作ろうとする姿勢が完全に欠けているんです。
宇野常寛/評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)、『若い読者のためのサブカルチャー論講義録』(朝日新聞出版)、石破茂氏との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)など多数。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部非常勤講師、立教大学社会学部兼任講師も務める
──痛い話ですね。
『新潮45』が炎上したときに、内部から公然と批判した文芸編集者たちがいましたよね。あれは英雄的な行為だと思うんですよ。