スタートアップ界を悩ます、「サウジマネー」の見分け方

2018/11/23

問われる資金源の正体

今年、ベンチャーキャピタル・ファンド（VC）を立ち上げたジョン・ブリオニスとジョティ・バンサルは、業界仲間から簡単に資金が手に入る資金源として、サウジアラビアとアラブ首長国連邦の政府系ファンドを薦められた。

どちらも今や、シリコンバレーの主要投資家となっている。

「本当に簡単だ。望むだけの金を提供してくれる、と口々に言われた」と、ブリオニスは言う。

しかし、2人は圧政的な政権の資金で投資することに違和感を覚えた。そこで、非営利団体や歴史的黒人大学（HBCU）、小児科専門病院などから投資を募ることにした。

この判断のおかげで、2人は難を免れた。サウジアラビア政府を批判したジャーナリスト、ジャマル・カショギの殺害事件をきっかけに浮上した厄介な議論に巻き込まれずにすんだのだ。

コメント

注目のコメント

• Kato Jun

  ユーザベース SPEEDAアナリスト

  ・2018年11月23日

  シリコンバレーとサウジの関係は、ビジョンファンドだけではない。
  Uberもそうだし、Teslaもビジョンファンドの金主でもあるサウジPIFから直接投資を受けている（イーロン・マスクの非上場Tweetの文脈がそこにあった）。また、下記Recode記事に詳しいが、「中東のMIT」を目指しているアブドラ国王科学技術大学大学院の基金が約200億ドルあり、それがセコイアなど様々なVCの金主であるとも言われている。
  またSanabilというPIF直下でスタートアップに直接投資をする組織もある。
  https://newspicks.com/news/3409973
• 久保田 雅也

  KBTM 代表

  ・2018年11月23日

  今回のサウジの事件をきっかけに、シリコンバレーでもVCの「資金の出し手」について意識が高まっている様です。既に出資された場合は売却を強制できないものの、出資時には投資家にその点を確認すべきだと。
  
  一方で秘密主義なVCに仮に資金の出し手を尋ねたところで全貌は分からないこと。実際守秘義務契約で縛られているケースも多い。更にそれが判明したところで、良い悪いの線引きも難しい。悩ましい問題です。
• 池内 恵

  東京大学 先端科学技術研究センター教授（グローバルセキュリティ・宗教分野）

  ・2018年11月23日

  【「この事件を受けて、金の出どころに関する議論が始まった」と、バンサルは言う。
  他のシリコンバレー投資家は、微妙な立場に追い込まれている。一部のスタートアップ創業者は、出資者に人権侵害の問題があった外国政府と財政的なつながりがないかを、問い合わせている。今後は、スタートアップも投資資金の出どころを確認するようになると見る声もある。】