【分析】デジマ頂上決戦。「アドビVSセールスフォース」の行方

2018/11/2
今、デジタルマーケティングの領域が大きく動いている。アドビが、マイクロソフトやSAPと協業を進め、データ連携の覇権に動いている一方、もう一つの「雄」セールスフォースがCRMでも圧倒的な存在感を示している。この頂上決戦の行方はどうなるのか。複雑化する業界の構図を、グロービス経営大学院の武井涼子准教授に整理し、解説してもらった。

アドビ、デジマ参入の必然

今、デジタルマーケティングの世界は大きく動いています。
まず、なぜアドビがデジタルマーケティングの領域に参入したか、それは、世界トップのクリエイティブ製品を持っていたからですね。
彼らの基本コンセプトは「デジタルエクスペリエンスを通じて世界を変える」です。このコンセプトで、彼らが最初に始めたのがクリエイティブで、初めはDTP(卓上出版)から入り、PhotoshopやIllustratorなどのプロダクトを作っていきました。
さらに、ウェブサイトの時代が訪れ、彼らがサポートしてきたクリエイティブがネットに上がるようになると、これらが実際に「どれくらいの効果を出しているのか」を知る必要が出てきたわけです。
そこで、アナリティクスを取り込む必要が出てきた。だから、2009年にオムニチュアを買収して、デジタルマーケティングに参入したのは、極自然な流れといえます。
アドビのミッション「Changing the World Through Digital Experience」(写真:アドビ)

企業変革3つの波

最近、アドビは、テクノロジーによる企業変革には、3つのウェイブ(波)があると言っています。順に①バックオフィス、②フロントオフィス(営業)、そして③エクスペリエンス(顧客体験)のウェイブです。
実は、この3つのウェイブは、デジタルマーケティングの勢力図を占う上でも、すごく分かりやすいんです。