2019年に、世界のZ世代はミレニアル世代を追い抜いて最大の世代グループとなる。彼らが世の中をどう動かすか、すでに兆候が見えてきている。

世界人口に占める割合は32%に

ジェネレーションZ(Z世代)はミレニアル世代の次の世代で、現在のところ1996年以降に生まれた人たちと定義されている。これまで長いあいだスポットライトが当たっていたのはミレニアル世代で、販売やマーケティングのチームは主に彼らに注目していた。
しかし、時代は変わっている。名高きミレニアル世代に代わって、Z世代がついにスポットライトを浴び始めたのだ。
ブルームバーグの調査によると、2019年には世界におけるZ世代の人口がミレニアル世代を抜いて最も数の多い世代になり、世界人口に占める割合は32%になるという。
何年ものあいだ、ミレニアル世代は流行をつくり出す世代であり続け、企業は彼らの関心を引こうと躍起になっていた。しかし、時間は経過し、ミレニアル世代も他の世代と同様に年をとった。
なお、過去四年間、ミレニアル世代は18歳から34歳までの人々と定義されていた。しかし、こうした考え方は統計的な知識がない人がするものだ。ミレニアル世代は「世代」であり、人口構成ではない。
Z世代は数が増えているだけではなく、すでにコミュニケーションと消費のトレンドを変えている。「エフェメラル(消える系)」プラットフォームの台頭から、従来型のソーシャルメディアの衰退まで、Z世代がビジネスに影響を及ぼしている。
この魅力的な世代を引きつけたいと考えている人、そしてこの新たな流行発信世代を分析したいと考えている人に向けて、3つの視点を提供しよう。

1. 大勢への告知よりも、個人との対話を好む

ソーシャルメディアに関しては、Z世代はミレニアル世代に比べて明らかに有利な点がある。ミレニアル世代のソーシャルメディアでの失敗をよく見て学んできたことだ。そのため、ソーシャルなつながりや表現の仕方、そして消費に関しては前世代とは異なる道をたどっている。
Z世代は「友だち」の数を増やすことよりも、その質を重視しており、個人的な関係性をつくろうとする。大学生のあいだで流行しつつあるメッセージアプリの「アイランズ(Islands)」は個人をコミュニティで結び、深い対話を可能にする。
ここでいうコミュニティとは、たとえば「ある特定の悲劇に対処しようとしている人々の集まり」などだ。Z世代はよりよい関係性を求め、こうしたニッチなコミュニティの中で自分のアイデンティティを探求しようとする。

2. 新しいメディアでニュースを見る

テレビでニュースが生放送されていた時代は、過去のものになりつつある。Z世代にとって、ニュースはテレビで見るものではなくなるだろう。
ニュースを提供する側も、この世代がソーシャルメディアと深くかかわって暮らしており、フォトショップで加工された自撮り画像以上のものを求めていることを知っている。インタラクティブなライブ放送は、ソーシャルメディアではまだ初期段階だが、これまでにない速度で成長しつつある。
オンライン・ニュースメディアのチェダーには、ゴールドマン・サックスなどの老舗企業やニューヨーク株式市場、ベンチャーキャピタルなどが新たに2200万ドルの投資を行った。それもこうしたニュースメディアの移行を期待してのことだ。
チェダーは過去1年間で、ライブのリニア放送とオンデマンドのストリーミング配信を劇的に拡大してきた。チェダーの放送は、フェイスブックやスナップチャット、スポティファイ、スリング、コムキャストX1、アマゾン、ツイッター、ツイッチ、その他の多くのプラットフォームで見ることができる。
Z世代からさらに大きなシェアを獲得しようと、チェダーは調達した資金の一部を使って、バイアコムの配信用プラットフォーム「MTVネットワークス・オン・キャンパス」を買い取った。
チェダーは「チェダーU」という新しいチャンネルをつくっている。これは全米の大学キャンパスにストリーミング配信を行うためのものだ。

3. 起業の定義を変える

まったく新たなツールを自由に使いながら成長してきたZ世代は、ミレニアル世代と比べて起業したいと考える割合が55%も高いという。
Z世代の育った時代は、エッツィ(Etsy)やショピファイ(Shopify)などを利用すれば、オンラインショップを開店するのにほとんどスキルもいらず、資金も最小限で済むような時代だ。
起業のハードルは低くなり続けており、Z世代はより多くの時間を使って自分たちの創造力を発揮している。Z世代はミレニアル世代とは同じ道を歩もうとはせず、新たな起業の方法を考え出すだろう。
しかし、失敗は起こるだろうし、どんなに素晴らしいアイデアでもすべてが10億ドル規模の事業になるわけではないという現実にもぶつかることだろう。
Z世代がメディアの関心を集め、新しいトレンドを生み出そうとする中で、企業はそれに乗り遅れないように注意する必要がある。彼らのオンラインでのコミュニケーションや消費動向は、未来を予測するものである。
一方でミレニアル世代は1兆ドルを超える購買力を持っており、その年齢にかかわらず、この世代に向けての広告費支出は続いていくだろう。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Anne Gherini/Head of Marketing, Affinity、翻訳:東方雅美、写真:molchanovdmitry/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.