先日、entrepediaより「2018年上半期国内スタートアップ資金調達総まとめ」を公表しました。日本のスタートアップ調達環境は金額ベースでは好調です。また、欧州でもスタートアップの調達環境が好調との発表があったり、中国のユニコーンが注目されたりと、世界的にスタートアップへの注目が高まっていると感じます。今回は、スタートアップといえば米国、そして日本のスタートアップ環境についてみていきます。

日本のスタートアップ調達環境はさらなる大型化が進む

ハヤト このあいだ、日本のスタートアップ資金調達レポートを公表したんですよね?日本の状況ってどうなっているんですか?
アツコ え、見てないの?(笑)
ハヤト ()
アツコ はい、これが日本の状況だよ。2018年上半期は過去10年でみても、ハイペースで金額が積み上がっていて、おそらく前年を上回るんじゃないかな。
ハヤト 金額めっちゃ増えてますね。あ、2013年からなんですね。
アツコ だねー。案件数の伸びよりも金額の伸びのほうが大きいことが特徴かしら。

米国VC投資も大型化傾向

ハヤト ぼくは、スタートアップが盛んといわれるサンフランシスコに住んでいるんですが、アメリカの状況がどうなっているのかも実は知りません。
アツコ じゃあ、みよう。
ハヤト おお、アメリカの2018年上半期は$57.50Bですか。1ドル=110円だとすると、6兆円もあるんですね!
アツコ 6兆円とか現金でもらったら重そう。日本の2018年上半期の金額は1,732億円だから、単純比較すると60倍だね。ヤバイ。
ハヤト 2014年を境に金額と案件数の伸び方が違いますね。
アツコ ね。2016年からは案件数は減っているけど金額は同じ水準になっている。つまり大型化が進んでいそうってことかも。
 2018年上半期は、前年と同じような傾向にみえるね。ソフトバンクのVision Fundの影響も大きそうだね。

GDPで標準化しても日米の差は大きい

アツコ 規模感つかむために、GDPで調整した値もみておこう。
ハヤト それでも8倍も違うんですね。面白い!VC同士でみると、20倍程度の違いにもなるんですね。日本は2013年以降、金額が大型化している。
アツコ 金額規模について、もう少し中身をみてみたいよね。
ハヤト はい。
ハヤト 日本は2013年以降から1億円以上の調達割合が増えていて、2018年上半期は過半数を占めるまでになってますね。
アツコ 美しい傾向だ。ちょうど1社あたりの調達額中央値が1億円になってるね。
ハヤト 2016年以降は、50億円以上の超大型調達の割合も増えているんですね!
アツコ 昨年は、100億円以上の案件が2つ(Preferred Networks-トヨタ自動車、スコヒアファーマ-産業革新機構・武田薬品工業・メディパルホールディングス:entrepedia調べ)もあって、少し前までは1億円調達したら祭りだったらしいので、すごいよね。

米国も2013年以降、金額が大型化

ハヤト アメリカは下のグラフですか?金額規模は違うけど、日本と構成ちょっと似てますかね。$5M以下が主流なんですね。
アツコ そうね。2015年以降は、「under $1M」のいわゆる小さい投資の割合が減っているね。代わりにその他の階級の割合が増えてるね。
ハヤト あれ、とくに2018年上半期は「$25M-$50M」の大型投資だけでなく、「$50M+」の超大型投資の割合も増えてますね!アメリカも大型化してるんだ。
アツコ ね!ちなみに、2018年上半期の米国VC投資案件でもっとも大きかったものは、ロサンゼルスに本拠がある中国発、EVメーカーFaraday Futureに対する$2,000Mの案件(Pichbook調べ)だって。
ハヤト おおよそ2,200億円!すごいっすね!
アツコ アメリカは、超大型投資の最大値が日本よりも飛びぬけているんだね。
 今回はここまでにしよう。日米のスタートアップに対する規模を中心にみて、それぞれの特徴が少し浮彫になったかな。次回は違う点をさらに掘り下げ、EXITの違いなどもみていこう。