「植民地主義は許さない」。中国に反発するマレーシアの決意
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マレーシアが他国と異なるのは、膨大な政府債務を抱えているため、簡単に中国支配を許してしまいやすいこと。その意味でも、親中国だった前政権からマハティール政権に交代させたマレーシア国民の選択は正しかったと思います。
中国の横暴ぶりを活写した。
ほんとうにどのぐらい地元のためにやっているのか、説明しているわけではなく、
なぜそんなにたくさんの金を海外で使うのか、国内でもまったく説明していない。
海外での大きなプロジェクトについてはほとんど報道はなく、
自国民に説明できないものは海外の方に理解してもらうなんか、有り得ない。
中国と世界との関係をほんとうにもう一回考えるべき時が来ている。「新植民地主義」は1981年から2004年まで首相を務めていた頃からマハティール首相が好んで用いていた用語でした。もっとも、その頃批判していたのはもっぱら米国でした。途上国が発展できないのは新植民地主義勢力による搾取のせいである、という論旨だったのですが、米国が政府を挙げてそういう意図を持っていたというのは陰謀論的に過ぎ(そして自国や他の途上国の問題点から目をそらせ)る主張でもありました。
中国の場合、企業は中国国内で持て余している資金や在庫資材の新たな投資先を探していて、政府も海外の投資先を斡旋している、というのが第一でしょう。マラッカ・ゲイトウェイ(皇京港)にしても、中国電力投資集団などの中国企業が参画していますが、「人民解放軍の軍港にしよう」、といった深謀遠慮は多分そんなにありません。マラッカは観光地なので、彼らの好きなクルーズ船が立ち寄れる港と宿泊施設をつくる、というのが主な計画です。もっとも、それが十分な収益の上がる投資なのか、マレーシア側に貸した資金は回収できるのか、といった見通しが十分あったようには見えません。バブル期の日本のように、これから観光産業はひたすら発展するので大丈夫、という甘い見通しに見えます。1980年代の後半に日本人がハワイのゴルフ場やニューヨークの高層ビルを買い漁っていたのと同じようなことで、これをもって「中国に植民地化される」というのはいずれ杞憂となるでしょう。
スリランカ、パキスタン、モルディヴ、あるいはカンボジア、ミャンマー、等々、返済の見通しもなく中国から借金を重ねている国ばかりです。マレーシアは、それらの国に比べれば「返せない借金はしない」と言い出しただけ、比較的まともといえます。中国の政府や企業も返済についての見通しもなくどんどん貸し付けてきました。これらの国々は繰り返し中国に債務返済繰り延べを要請してきましたが、返済されなければいずれ中国経済にも波及するので、中国政府は最近はこれ以上の繰り延べは認めない、と強調しています。中国政府は取り立てができなさそうなので、泡を食って担保に土地を巻き上げている、といったところが実情のように見えます。途上国に貸付するというのは、欧米諸国も中南米やアフリカへの多額の債権があるばかりに散々苦心してきましたが、いわば苦労を抱え込むという面もあります。