「女性医師では回せないと言うなら、回す努力をしましたか?」 日本女性外科医会代表が問いかける
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注目のコメント
少し違う視点からコメントします。以下のことが良いとは思っていません。しかし、それを臨床の現場でどう改善したら良いかは本当に難しい問題です。
まず、平成28年度の厚生労働省の報告によると、主たる診療科の医療施設で働く医師の(男性を1とした)女性比率は以下の通りでした。代表的な診療科として…
・内科 0.73
・小児科 1.96
女性の比率が少ない診療科は…
・外科 0.23
・心臓血管外科 0.23
・脳神経外科 0.21
逆に女性の比率の高い診療科は…
・皮膚科 3.35
・麻酔科 2.39
・眼科 2.29
私や小林先生が専門とする心外、外科は男性の職場そのものです(特に、小林先生の専門である食道外科には女性医師がいるのでしょうか?)。
このような診療科では、若手と呼ばれるうち(最初の6~10年目くらいまで)は、患者さんを最初(外来 or 入院)から最後(退院 or 退院後外来)まで目を離さず診続けることが良しとされます。それはひとえに、経過のすべてを診ることで自分の経験値を重ねることが出来るからです。「自分のため」です。
この言葉によりひたすら病院に残って患者(特にICUに入院しているような患者)を診続けます。長時間の手術を終えて、その後も長時間の術後管理。心臓手術のあとは翌朝まで患者を診るのは当然と捉えられています。これは「患者のため」にももちろんなっています。常に診療を担当した医師がそばにいますので何かあれば迅速な対応が取れます。交代制では引き継ぎがあるとしても迅速さと細かさにおいて継続して診ている医師には劣ります。
「自分のため」と「患者のため」の両者が成立してしまっているため、現在のようなブラック環境が延々と続いています。それが顕著なのがいわゆる外科系と呼ばれる診療科であり、女性比率の少ない診療科です。この歴史の中にいて、それに従ってきて今があり、現在も後輩にそれを強いている面を否定できない自分がいます。
ピッカーの皆様に、この問題を考える上で現場の実状の一つとして知ってもらえる機会と思い長々と書きました。東京医大の裏口入学問題、女性差別問題、年齢差別問題から、問題の本質である医師のブラック労働に議論が進んできて少し嬉しい、といいますか、期待しています。
奈良原先生のコメントから、ちょっと興味が湧いたので、日本食道学会HPで国内の食道外科専門医(261名)中、女性が何人いるか調べてみました。
結果=1名でしたorz.
(因みにこのお一人の先生は立派な外科医ですが、独身です)
いまのところやむを得ないかな、というのが正直なところ。私も奥さんが助けてくれなければ、家族を維持することは不可能だったでしょう。気楽に女性を外科(特に食道外科)に勧誘することは、残念ながらまだ難しいです。
充分ではないですが、もちろん改善策はとっています。
若い人も含めて当直明けは帰れるようにしたし、チーム制にして主治医一人に負担が集中しないようにしました。しかし、いかんせん人手が足りないのでブラック職場なのは間違いないです。
末端の野戦病院からは以上です。