【実録】iPadより安い。ゲノム編集「民主化」のヤバイ側面

2018/7/27

市民科学者の勃興

ケオニ・ガンダルは10代の頃から、カリフォルニア州ハンティントンビーチの自分の部屋の中に最先端のラボをつくり、実験にいそしんでいた。
友人らがビデオゲームを買って遊んでいるなか、ガンダルは遠心分離機やトランスイルミネーター、サーマルサイクラーなどの研究設備を購入。大学の研究室さながらのラボだった。
「僕はただ、自分のラボでDNAを複製し、自宅でゲノムを作りたかっただけ」と、ガンダルは言う。
自宅ラボで遺伝子研究をしているのはガンダルだけではない。アメリカではこの数年間、いわゆる「バイオハッカー」たちが自己流で遺伝子編集に励むようになっている。
機器が安くなり、ゲノム編集技術、とくに「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス9)」が広く共有されるようになるにつれ、“市民サイエンティスト”たちが驚くべきやり方でDNAの再構築を試みている。
ケオニ・ガンダルの自宅ラボ(写真:Erin Brethauer for The New York Times)