現代人の新たな教養。アートの歴史と業界地図
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私が多摩美術大学の学生だった2004-2007年頃は、ビジネスとして成立している日本人アーティストの代表格と言えば、村上隆氏と船越桂氏であったように思います(当方が彫刻学科だったということでの情報の偏りを含む)。
現在の状況はよくわかりませんが、個人的な興味はバンクシー氏一択です。
それでは近代〜現代アートを3つのキーワードで紐解いてみたいと思います。
「マルセル・デュシャン」「オープンソース」「ヒップホップ」。
マルセル・デュシャンはアーティスト個人の名前です。
代表的な作品は美術展覧会に既成の男性用小便器を展示した作品です。これは議論を呼ぶ「事件」でした。そこから「アートとは何か」について新たな価値観が生まれていきました。
高度な技術で創られた綺麗な手工業的な一点物の作品だけでなく、工場生産の工業製品で、しかも便器という一般的な美の概念の対極に位置する「排便に用するもの」ですら美術の概念の内側に取り込むという価値観の提示です。20世紀前半の事です。
今日では美術の歴史はマルセル・デュシャンの提示した価値観を包含して成立しています。
デュシャンの代表的な作品には日本人にとってとても馴染みのあるダ・ヴィンチ作「モナ・リザ」の肖像画に口髭を書き加えたものもあります。
ここで「オープンソース」という概念が顔を覗かせてきます。
既に発表された美しい作品/美術の最高峰と認められた作品を、「ヒップホップ」のサンプリング手法のように、土台にして再構築(リミックス)するという制作方法。
ヒップホップは録音物としてのレコードを楽器として使用することで進化してきた音楽の形態です。
それは既製品(レディメイド)を門戸を開かれた素材(オープンソース)として使用するという、マルセル・デュシャンが行った表現行為と同じなのです。
20世紀の終わりには美術も音楽も、そしてインターネットも「オープンソース」へとたどり着きました。
そして今は「オープンソース」がソーシャルネットワークでシェアされて、リミックス→アップデート→リミックス→アップデート→(以下略)を繰り返しているように思います。
では、その先にどのような教養を見出すのかと問えば、その解答のひとつはWikipediaのような(アカシックレコードの具現化とでも言うような)集合知だと思います。もうひとつは感覚や経験の移殖ではないだろうか
注目のコメント
リベラル・アーツが人間を自由にするといわれるゆえんは、ありきたりの聞いたことのあるようなことしか言えない人間ではなくなること、ほとんどの人が考えつかないような自由な観点をもつのに必要な教養を身に付ける、ということによります。
「クリエイティヴ・シンキング」とか多様性を理解するということは学校の授業でも訓練して身に付けさせようとされています。アクティヴ・ラーニングとかグループ・ワークとかといった授業のやり方で、そういった考え方を身に付けることが目的とされてもいます。しかし、そこで起きていることの多くは、ありきたりな、聞いたことのあるようなアイディアを出し合うことに過ぎなかったりします。特に日本だと、下手をすると、空気を読み合い、できるだけ無難な意見にまとめる訓練になていたりします。読書感想文のように、大人や世間が正解とするであろう意見を言うだけ、で終わる場合が多いです。
いきなり自由な視点を持てとか、クリエイティヴなアイディアを出せ、とか言われても出てくるものではありません。メディアやインターネットで聞いたことのある見方しか出てきません。斬新な意見、誰も考えたことのなかったような観点をもつには、知識が必要です。その問題に精通していることも必要ですが、古今東西の幅広い知識の蓄積、文学や美術、音楽、哲学、思想、様々な知識に通じていることで、かえってほとんどの人が思いもつかないような視点をもつことができます。そのような知識が教養と呼ばれます。アートの大きな役割は、誰もが見たことのある物事でも、誰もしたことがないような新しい見方で見て表現する、ということです。教養として「現代アートの歴史」を振り返りつつ、謎の多いアートビジネスの世界を取り上げていきます。私はこの特集の取材を通じて、「自分の美意識に合う企画だけやりたい」と思うようになりました。山口さんのお考えに、すっかり影響を受けています(笑)
最近、周りでアート作品を買っている友人、確実に増えていますね。景気いいってことでしょうね。
僕もこれまで興味はあるものの、何かシンパシーを感じられるモチーフじゃないとなんだかしっくり来ないな〜と思っていたところ、馬の肖像画を専門にしている画家さんとたまたまお会いし、牧場で働いていた頃に調教を担当していた愛馬の肖像画をお願いすることにしました。
今までずっと、部屋やデスク上に写真で飾っていたので、どんな感じで仕上がるのか、非常に楽しみにしているところです。
アートをビジネスの観点で見るというのは、モノの値段のつき方や評価を考えるにあたっては極めて良い題材だと思って、ここ最近、研究しているところです。