紙の時代は終わる。北欧製紙大手の「次の切り札」

2018/6/30
「フィンランドを殺したのはアップルだ」
2014年、当時のフィンランド首相、アレクサンデル・ストゥブは、自国が直面している経済環境をこう発言した。一つは、iPhoneの登場で、かつて世界を席巻した携帯電話「ノキア」が凋落したため。
もう一つは、フィンランドを支えるもう一つの業界も、iPadの登場によって、壊滅的な打撃を受けていたからだ。
それは「製紙業界」だ。
オーロラが見える広大な森林地帯「ラップランド」を抱えるフィンランドは、実は今も「製紙・パルプ・木材」が輸出総額の実に20%を占める基幹産業になっている。
(iStock/sara_winter)
紙からデジタルの波は、もはや止まらない波だ。
だが、イノベーションを国策として進めるフィンランドは、伝統的な製紙産業においても、抜本的な変革を進めている。そのカギとなるのは、資源のサイクルをビジネス化する「サーキュラーエコノミー(循環経済)」だ。
フィンランドが掲げる「紙」の次のイノベーションを追った。