勇気と集中力と冒険する意思

イーロン・マスク(テスラ)やセルゲイ・ブリン(グーグル)、アリアナ・ハフィントン(ハフィントンポスト)ら成功した起業家が、人並みはずれたビジネスセンスの持ち主であるのは間違いないだろう。
でも、彼らがものすごくラッキーなのも間違いないはずだ。いったい彼らは、どうやって幸運を招き寄せたのか。
「オレ(あたし)ってラッキー」と思っている起業家は、モチベーションが高く、心身ともに健康的というデータがある。これは苦境を乗り切るときに必要不可欠になる資質でもある。
では、「運のいい人」になるにはどうすればいいのか。3つのカギを紹介しよう。

1. 運を呼ぶ「行動」をとる

ずばり幸運の決め手となるのは、頭の柔らかさと、冒険してみる勇気、そして自分の直感を信じる意思だ。予想外の出来事を楽しみ、たまにはルーチンを破って、自分を解き放とう。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、有名なスタンフォード大学卒業式のスピーチで、自分の直感を信じる大切さに触れている。
「もし私が大学を中退していなかったら、カリグラフィーの授業にもぐり込むことはなかっただろうしし、そうしたらパソコンが現在のように美しいフォントを持つこともなかっただろう」
「もちろん大学時代に、こうしたバラバラの出来事が、いつか1本の線でつながると予想することはできなかった。でも10年後に振り返ると、そのつながりが実にはっきりわかった」
「もう1度言うが、これらの点のつながりは、事前に計画することはできない。あとになって振り返ったとき初めて、そこにつながりがあったことがわかる。だから今は、日々の出来事がいつか何かに結びつくと信じなくてはいけない」
「自分の直感とか、運命とか、カルマとか、いろいろと表現はあるだろうけれど、とにかくそれを信じること。私はこういう考え方をすることで、がっかりしたことは1度もない。そしてこの考え方が、人生で重要な転機をすべて生み出した」

2. 運を呼ぶ「考え方」をする

運を呼べるかどうかは、自分の考え方によっても大きく影響を受ける。あなたは成功を待つタイプか、自らつかみに行くタイプか。英ハートフォードシャー大学のリチャード・ワイズマン教授は、著書『運のいい人の法則』(邦訳:角川書店)で、運のいい人には共通点がある理由を説明している。
「私の研究では、ラッキーな人は4つの基本原理に基づき幸運を生み出している。(1)偶然のチャンスを生み出したり気づいたりするのがうまい。(2)自分の直感を信じてラッキーな決断を下す。(3)自分にポジティブな期待をすることで、それを実現するよう自己暗示をかける。(4)悪運を幸運に変える粘り強さを持つ」
さらにワイズマンは助言している。「自分は運が悪いと思っている人は、その考え方を捨てれば、幸運を生み出す方法が見つかるはずだ」

3. あきらめない

強気なことを言っていても、内心では「もうダメだ!」と思うことは誰にでもある。でも、そこで踏ん張らなくてはいけない。ハフィントンポストを立ち上げたアリアナ・ハフィントンは、そんな自分の経験をうまく表現している。
「私の人生は失敗ばかりだった。絶対に忘れられないのは、2冊目の著書の出版を36社に断られたこと。ハフポストが軌道に乗りはじめたとき、好評価と同時に、こんてんぱんの評価を受けたことも忘れられない」
「でも、母はよく『成功の反対は失敗じゃない。失敗は成功への足がかりだ』と言い聞かせてくれた」
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どうやら幸運は偶然舞い込むものではなく、勇気と集中力と冒険する意思が絡み合って生まれるものらしい。さあ、世界に向かって「よし、やるぞ!」と宣言しようではないか。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Terence MauriAu/Author, 'The Leader's Mindset: How to Win in the Age of Disruption'、翻訳:藤原朝子、写真:Peshkova/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with Cartier.